診療支援
治療

性分化疾患
disorders of sex development(DSD)
小林暁子
(新潟大学講師・産科婦人科学)

頻度 ときどきみる(MRKH症候群,ターナー症候群)

頻度 あまりみない(副腎性器症候群,総排泄腔遺残症,総排泄腔外反症,アンドロゲン不応症)

GLWebtext:性分化疾患の診断と治療(2016)

ニュートピックス

・近年遺伝学的検査が行われるようになり,診断目的で多数の遺伝子解析が可能となっている.

・核型(染色体検査)だけでなく,SRYの有無,POR遺伝子欠損症など,もしくは46,XY DSDの一部で遺伝子パネル検査がある.

治療のポイント

・子どもが生まれたときに,典型的な男児・女児の外性器や生殖腺(卵巣・精巣)とは異なる,「非典型的な」発育状態を呈するものを「性分化疾患」とする.

・出生時,両親には「異常」「不完全」「わからない」という不安を与える言葉は使わない.「外性器の成熟が遅れているようです.これから検査しましょう」と声掛けする.

・出生後,DSDチームのもと,社会的性の選択や治療方針をすみやかに決定するため,専門的な施設への搬送を要する.副腎不全,排泄障害など重篤な状態となる可能性も考慮する.

◆病態と診断

A病態

・性には遺伝学的な性,性腺の性,内性器・外性器の性,脳の性(性自認)があり,どのようなDSDでも,すべての項目について検査をするべきである.

B診断

・外性器所見が典型的男児/女児とは以下の点で異なる.

1)性腺を触知するか?:停留精巣など

2)陰茎あるいは陰核の状態:小陰茎あるいは陰核肥大か?

3)尿道口の開口部位:尿道下裂あるいは陰唇癒合がないか? 通常の位置と異ならないか?

4)陰嚢あるいは陰唇の状態:陰嚢低形成あるいは大陰唇の男性化

5)腟の状態:腟盲端(dimpleのみの形成もあり)や,泌尿生殖洞(尿道口と共通になる)はないか?

6)皮膚色素沈着はないか?

◆治療方針

A内科的治療

 副腎性器症候群など,副腎疾患にはステロイドホルモンを補う.ターナー症候群やアンドロゲン不応症など

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