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GL産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023
GLホルモン補充療法ガイドライン2017年度版
ニュートピックス
・ホルモン補充療法(HRT:hormone replacement therapy)に使用する黄体ホルモンとして,天然型プロゲステロン製剤が登場した.乳癌リスクに影響を与えないことなどから,安全性が高いとされ,世界的にも広く使用されている製剤である.
治療のポイント
・初診時の面接の際には,受容的態度で臨み,患者の訴えに耳を傾け,良好な関係の確立を目指すとともに,患者の心理社会的背景にも目を向ける.
・更年期障害の診断には,「患者が更年期であること」,「症状が他の器質的疾患に起因するものでないこと」の確認が必須である.
・薬物療法としては,HRTのほかに,漢方療法,抗精神病薬などが用いられる.症状だけでなく患者の希望も加味して治療法を決定する.
◆病態と診断
A病態
・更年期障害は,視床下部-下垂体-卵巣系を主体とした全身の加齢変化による生物学的要因,更年期特有の社会的・環境的要因,患者が生来からもつ気質などの心理的・性格的要因が相互に影響し合い,多様な表現型をもって発症するとされている.
・更年期症状は,ほてり,発汗などの血管運動神経症状,イライラ,不安感などの精神的症状,頻尿,尿もれ,性交痛などの泌尿生殖器症状,肩こりなどのその他に大別される.通常,更年期女性は同時に多くの症状を呈するため,その表現型は非常に多彩であり,不定愁訴ともいわれる.
B診断
・日本産科婦人科学会の産科婦人科用語集・用語解説集では,「更年期に現れる多様な症状の中で器質的変化に起因しない症状」を更年期症状とし,また更年期障害は「更年期症状の中で日常生活に支障をきたす病態」と定義している.
・日本の定義では,更年期は「閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間」である.また,閉経は,月経が永久