頻度 あまりみない(本邦では外陰癌と腟癌をあわせて年間500例程度が発症.半数がⅠ~Ⅱ期)
GL外陰がん・腟がん治療ガイドライン2015年版
ニュートピックス
・手術が主治療となる外陰癌の進行期には日本産科婦人科学会による分類があり,根治性をもとに,2022年にⅢ期とⅣA期が改訂された.一方,腟癌は術前進行期分類(FIGO 1971,日産婦2014改)を用いる.
・放射線治療が主治療となる腟癌に対する本邦の手術治療成績がまとめられた.
治療のポイント
・外陰と腟にまたがる腫瘍は外陰癌,外子宮口に及んでいるものは子宮頸癌として扱う.
・希少癌ゆえに診療経験のある医師が少なく,診断・治療に迷う場合は高次施設に紹介する.
・高齢で合併症を抱える患者が多いため,全身状態(PS)を考慮した治療選択を行う.
・悪性黒色腫は生物学的特徴が異なる.産婦人科医と皮膚悪性腫瘍指導専門医が協同して取り扱う.
・出血や悪臭,痛み,排泄困難などQOLを損なう諸症状のケアにも気を配る.
◆病態と診断
A病態
・組織型は扁平上皮癌(SCC)が大半.外陰ではパジェット病,腟では腺癌がその次に多い.
・主訴は陰部の発赤・腫脹から瘙痒感,不快感,出血,疼痛などであるが,初期症状は乏しく受診をためらう患者も多い.
B診断
・内診,腟鏡診,コルポ診,組織診,画像検査を行う.
・確定診断は組織生検にて行う.局所麻酔薬や止血縫合の準備もしておくとよい.肉眼的腫瘍がなくても,高齢者が難治性の瘙痒を訴える場合には組織生検を進める.
・腺癌では複数個所に病変を認めることもある.腟鏡のブレードの下を見落とさないように留意する.
・MRIとCTないしPET-CTなどにて局所と鼠径・骨盤リンパ節の評価を行う.
・高齢患者が多く,PSの評価も欠かせない.
◆治療方針
外陰・腟の上皮内腫瘍(VIN:vulvar intraepithelial neoplasia,VAIN: