診療支援
治療

子宮頸癌
cervical cancer
永瀬 智
(山形大学教授・産婦人科)

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GL子宮頸癌治療ガイドライン2022年版

ニュートピックス

・ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)ワクチン接種の積極的勧奨が2022年4月から再開した.

・切除不能局所進行子宮頸部腺癌に対して重粒子線治療が保険適用となり,切除不能子宮頸部扁平上皮癌に対しては,先進医療で治療が可能である.

・進行または再発子宮頸癌に対して抗PD-1抗体薬が投与可能となった.

治療のポイント

・上皮内癌であれば,子宮を温存する円錐切除術で治療を終了することが可能である.

・Ⅰ・Ⅱ期では,手術療法と放射線療法の治療効果は同等である.

・妊孕性温存術式は,ⅠB1期までの進行期を対象として手術の可否が検討される.

・Ⅲ・ⅣA期の患者に対しては,同時化学放射線療法(CCRT:concurrent chemoradiotherapy)が推奨される.

◆病態と診断

A病態

・95%以上の子宮頸癌の発生にはハイリスクHPVの持続感染が関与しており,16型と18型が約70%を占めている.

・ハイリスクHPVに感染した一部の女性は,数年以上の時間をかけて,前癌病変である子宮頸部異形成を経て子宮頸癌に進展する.

B診断

子宮がん検診または子宮腟部細胞診で異常所見が認められた場合,コルポスコピー下狙い組織診を行う.

・微小浸潤癌が疑われる場合や上皮内腺癌(AIS:adenocarcinoma in situ)の場合は,円錐切除術を行って診断を確定する.

・臨床的・病理学的に浸潤癌が明らかな場合は,腟鏡診,内診,直腸診,CT,MRIやPET-CTを行い,病変の拡がりや転移の有無を確認し治療方針を決定する.

◆治療方針

ACIN3(高度異形成・上皮内癌)・AIS

 CIN3の場合は円錐切除術を行い,切除断端が陰性であれば治療終了としてよい.高齢者のCIN3や円錐切除術後の再発例に対しては,単純子宮全摘

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