診療支援
治療

胎児機能不全
non-reassuring fetal status(NRFS)
板倉敦夫
(順天堂大学教授・産婦人科学)

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治療のポイント

・妊娠を迅速に終結させるべきか,継続させるかの判断を妊娠週数,胎児機能不全(NRFS)の重症度に応じて,決定する.

・妊娠・分娩を迅速に終結させるには急速遂娩が必要で,帝王切開,吸引・鉗子娩出術が,妊娠・分娩の進行状況によって選択される.

・高度な新生児蘇生を必要とする可能性が高いため,新生児専門医を招集するなどの対応も考慮する.

◆病態と診断

A病態

・妊娠中あるいは分娩中に胎児の状態を評価する臨床検査において,正常ではない所見が存在し,胎児が健康であることに確信がもてない場合をNRFS(non-reassuring fetal status)とよぶ.

胎児心拍数陣痛図(CTG:cardiotocography)は偽陰性率が低いものの偽陽性率が高く,異常を示しても,脳性麻痺や胎児死亡に至るとは限らない.

・脳性麻痺の児にも胎児心拍数異常がない例が10.5%存在しており,NRFSを伴わない脳性麻痺も存在する.

B診断

・胎児の状態を評価する検査として,最も頻用されるのが,CTGである.

・分娩開始前に負荷をかけずに20分程度記録したCTGが,ノンストレステスト(NST)である.NSTでは十分に判断ができない場合は,バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)やコントラクションストレステスト(CST)も利用する.パルスドプラ法による胎児血流による評価も利用されるが,総合的に判断するため明確な基準はない.

・分娩中のCTG評価は,胎児心拍数モニタリングを5段階に分類して評価し,レベル3~5をNRFSと判断する.

◆治療方針

 分娩中はCTGによる胎児心拍数モニタリングを5段階で評価し,レベル3~5をNRFSと判断し,以下のごとく対応する.

1)レベル3:「監視の強化,保存的処置の施行および原因検索」または「保存的処置の施行および原因検索,急速遂娩の準備」

2)レベル4:「保存的

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