頻度 ときどきみる
治療のポイント
・子宮内胎児死亡は次回妊娠に繰り返さないために原因検索が重要である.
◆病態と診断
・米国,日本でも全妊娠の0.6%の頻度.若年・高齢妊婦,肥満,糖尿病,妊娠高血圧症候群,抗リン脂質抗体症候群,喫煙,多胎,胎児発育不全などがリスクとなる.
・原因検索のため,家族歴・産科既往歴などの聴取,自己免疫疾患,ウイルス感染(パルボ,ヘルペスなど),胎児溶血性疾患(母児間輸血症候群),血液培養(リステリアなど),腟分泌物培養(A群,B群溶血性レンサ球菌など),胎児・胎盤の染色体検査,胎盤病理検査(絨毛膜羊膜炎など),胎児の病理解剖などが必要となる.特に臍帯異常は11~65%にのぼり,臍帯巻絡,過捻転・過少捻転,卵膜付着,真結節などに注意する.また原因不明の胎児死亡のうち,QT延長症候群に関連するイオンチャンネル遺伝子異常が8.8%にみつかったとの報告がある.
◆治療方針
妊娠高血圧腎症,敗血症,常位胎盤早期剥離の際は児の娩出が急がれるが,そうでなければ数日待機しても問題はない.胎児死亡後に胎児成分が母体血中に侵入しDICを起こすことがあるとされるが(死胎児症候群),非常にまれである.
子宮内胎児死亡には,原則分娩誘発による経腟分娩を行う.ラミナリアやメトロイリンテルによる機械的頸管拡張ののち,分娩誘発薬を使用する.
A妊娠12週以降21週まで
Px処方例
ゲメプロスト(プレグランディン薬)腟坐剤(1mg) 1回1個 3時間ごとに後腟円蓋部に挿入 1日最大5個まで
B妊娠22週以降27週まで
欧米ではミソプロストールが使用されるが日本では認可外であり,児娩出は十分な頸管拡張後にオキシトシン投与など各施設のプロトコールによる.
ただし妊娠26週以降で既往帝王切開の場合,子宮破裂のリスクがあり,プロスタグランジン製剤は使用しない.
C妊娠28週以降
Px処方例
オキシトシン(ア