診療支援
治療

産科危機的出血,産科DIC
critical obstetrical hemorrhage,disseminated intravascular coagulation in obstetrics
田中博明
(三重大学准教授・産科婦人科学)

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GL産婦人科診療ガイドライン 産科編2023

◆病態と診断

A病態

・産科危機的出血は,妊産褥の生命にかかわる産科出血を総称し,迅速な輸血と集学的なチーム管理を必要とする危機的状態である.

・産科DICは,妊産褥において基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし,細小血管内に微小血栓が多発する状態で,凝固能低下による出血を主症状とする.

・産科危機的出血では,産科DICを併発していることが多い.

・産科危機的出血・産科DICの原因疾患として,羊水塞栓症,常位胎盤早期剥離,前置癒着胎盤,弛緩出血,子宮破裂,産道裂傷などが挙げられる.

B診断

・非凝固性の出血を認めた場合は産科DICを疑い,産科DICスコア8点以上(単独でフィブリノゲン150mg/dL未満)の場合は産科DICと診断し,すみやかにDIC治療を開始する(産科DICスコアは,凝固検査結果にかかわらず基礎疾患と臨床症状

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