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GL産婦人科診療ガイドライン 産科編2023
◆病態と診断
A病態
・産科危機的出血は,妊産褥の生命にかかわる産科出血を総称し,迅速な輸血と集学的なチーム管理を必要とする危機的状態である.
・産科DICは,妊産褥において基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし,細小血管内に微小血栓が多発する状態で,凝固能低下による出血を主症状とする.
・産科危機的出血では,産科DICを併発していることが多い.
・産科危機的出血・産科DICの原因疾患として,羊水塞栓症,常位胎盤早期剥離,前置癒着胎盤,弛緩出血,子宮破裂,産道裂傷などが挙げられる.
B診断
・非凝固性の出血を認めた場合は産科DICを疑い,産科DICスコア8点以上(単独でフィブリノゲン150mg/dL未満)の場合は産科DICと診断し,すみやかにDIC治療を開始する(産科DICスコアは,凝固検査結果にかかわらず基礎疾患と臨床症状のみでもDICとして治療開始できるように作成されている).
・ショックインデックス(心拍数/収縮期血圧)が1.5以上で,産科DICの場合に産科危機的出血と診断する.
◆治療方針
産科危機的出血と診断した場合,発症した施設が1次施設であれば高次施設へ搬送する.また,産科危機的出血では集学的な治療が必要なため,産婦人科医だけでなく,麻酔科医,救命救急医を含めた複数の人員を確保する.
産科危機的出血・産科DICに対する治療の第1選択は,輸血である.同時に,原因疾患に合わせて止血のための外科的治療,IVR(interventional radiology)を試みる.
A分娩後異常出血に対する治療
1.子宮収縮不良例に対する治療
Px処方例
オキシトシン(アトニン-O薬)注(5単位/A) 1回2A 緩徐に静注,または筋注
●治療の変更の指標 静注,または筋注後,十分な子宮収縮が得られない場合は,子宮体部の双