診療支援
治療

遺伝カウンセリング
genetic counseling
佐村 修
(東京慈恵会医科大学教授・産婦人科学)

GL医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2022)

ニュートピックス

・2021年11月に「出生前検査認証制度等運営委員会」が日本医学会に設置され,2022年2月に「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」が策定され,2022年7月にすべての都道府県にNIPTの認証医療機関(基幹施設と連携施設)が認定された.その後,認証医療機関数は増加している.

・2023年6月には「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」が成立し,ゲノム医療に対する初めての法律が日本で制定された.

・日本産科婦人科学会も2023年6月に「出生前に行われる遺伝学的検査に関する見解」を改定した.

治療のポイント

・本項では,周産期に関する遺伝カウンセリングを中心に概説する.遺伝カウンセリングとは疾患の遺伝学的関与について,その医学的影響,心理学的影響および家族への影響を人々が理解し,それに適応していくことを助けるプロセスである.加えて,妊婦は体調の変化に伴う妊娠そのものについての不安や社会的・経済的な不安など妊娠中に特有の悩みや不安を抱くことも多く,その状況を考慮した支援も重要である.

・クライエント(相談者)の話をよく聞いて家系図を作成し,さらに今後の対応に必要な適切な情報を提供し,クライエントの選択する方向性を複数示し,そのなかからクライエントの自己決定を支援することが重要である.

◆病態と診断

A病態

・ほとんどの妊婦は妊娠期間中に胎児に問題がないか心配する.先天性疾患はヒトでは約3~5%の頻度で発生している.そのなかでも胎児染色体異常によるものはその1/4を占めるとされる.染色体異常は数的異常と構造異常とに大別され,その発症機序や症状はさまざまである.

・染色体数的異常のうち,トリソミーの胎児を

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