診療支援
治療

早産児の動脈管開存症
patent ductus arteriosus(PDA)in preterm infants
中野玲二
(静岡県立病院機構静岡県立こども病院・周産期母子医療センター長)

GL根拠と総意に基づく未熟児動脈管開存症治療ガイドライン(2010)

ニュートピックス

・体重2.5kg未満の低体重児に対する経カテーテル動脈管閉鎖術のためのデバイスとして初めてAMPLATZERピッコロオクルーダーが2020年に保険収載され,日本先天性心疾患インターベンション学会により認定された施設および術者で,国内でも臨床使用が開始されている.

治療のポイント

・動脈管閉鎖が理想的ではあるが,完全に閉鎖しなくても短絡量が減少する程度に動脈管が収縮すれば治療として奏効したと判断できる.しかしながら,再開通もしくは再拡大することが少なからずあるため,薬物治療の効果があったあとも症状・所見の出現や増悪に注意しながら経過観察する.

◆病態と診断

A病態

・出生後に動脈管が閉鎖しない場合,動脈管経由の左右短絡による肺血流増加に伴う心不全と体血流減少に伴う循環不全が起こる.

・臨床症状として,心雑音,心尖拍動,bounding pulse,頻脈,血中二酸化炭素貯留,多呼吸,陥没呼吸,肺出血,乏尿,腎障害,アシドーシス,腹部膨満などが挙げられる.

・在胎期間が短い早産児ほど,動脈管は自然閉鎖しづらく薬物療法を要する頻度は高くなる.何らかの薬物療法を要する割合は,在胎23~24週:約70%,在胎25~26週:約50%,在胎27~28週:約30%,在胎29週以上:10%未満.

B診断

・胸部X線検査では心拡大と肺うっ血所見を認めることがある.

・最も直接的で正確な診断は心エコー検査である.動脈管の径と血流波形,左室左房の拡大,左肺動脈拡張末期血流速度,腎動脈血流波形などを,早産児では出生後に経時的に評価する.

◆治療方針

 早産児の症候性動脈管開存症に対する初期治療として,シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬以外には,有効性が示されている内科的治療や予防的対応策はない.COX阻害薬には,動脈管拡張物質であるプロスタ

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