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治療のポイント
・新生児低血糖の定義となる単一の数値は存在せず,そのかわりに介入すべき治療閾値が提唱されている.
・症候性低血糖は治療の絶対適応であり,すぐに経静脈的に糖を投与すべきである.
◆病態と診断
A低血糖の基準
・重篤な低血糖は中枢神経障害を起こしうる病態であるが,新生児において神経障害を呈する血糖の閾値はわかっておらず,また,新生児低血糖を定義する単一の数値は存在しない.かわりに安全域を加味したうえで,介入すべきと考えられる「治療閾値」についてのガイドラインが(エビデンスはないものの)さまざまな学会から提唱されている.
B症状
・新生児低血糖の症状には,易刺激性,振戦,ジタリネス,モロー反射亢進,甲高い泣き声,けいれん,嗜眠,筋緊張低下,チアノーゼ,無呼吸,哺乳低下などがある.これらはいずれも低血糖以外でも認めうる非特異的な症状であり,さまざまな病態との鑑別が問題になる.
◆治療方針
A対応
症状を呈する低血糖は中枢神経障害が懸念される状況であり,一刻も早い経静脈的な糖投与が必要となる.上記の低血糖症状が認められたときは,ほかの病態との鑑別を進めつつ同時に一刻も早い血糖のチェックおよび糖投与を行う.症状を呈さない血糖低下については,エビデンスはないもののさまざまな管理指針が提唱されている.低血糖ハイリスク児の管理に関して,米国小児科学会(AAP)が提唱する案を提示する(図).
B薬物療法
新生児低血糖で最も多い原因は,高インスリン血症である.低血糖が遷延し,輸液による糖投与を減量できない高インスリン性低血糖の場合,ジアゾキシド内服が有用である.
Px処方例
ジアゾキシド薬カプセル 1日5mg/kgを2~3回に分服(脱カプセル).効果に応じて1日15mg/kgまで増量
!注意 本剤が第1選択ではあるが,浮腫,乏尿,多毛その他の副作用があり,使用にあたっては注意が必要である.