診療支援
治療

新生児の敗血症,髄膜炎
neonatal sepsis and meningitis
小林 玲
(新潟大学医歯学総合病院講師・総合周産期母子医療センター)

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治療のポイント

・新生児敗血症の15~30%に髄膜炎を合併する.敗血症を疑ったときは常に髄膜炎の可能性を考慮する.

・各種培養検査を行ったのち,すみやかに抗菌薬を投与する.髄膜炎を疑うときは投与量を増量する.

・培養結果(原因菌,薬剤感受性)を確認し,抗菌薬の調整(de-escalation,投与期間の設定)を行う.

◆病態と診断

A病態

・新生児は免疫能が脆弱であり,感染すると急速に病状が進行し,敗血症や髄膜炎などの全身性感染症となりやすい.

・生後72時間以内に発症する早発型,生後72時間以降に発症する遅発型がある.早発型は垂直感染が多く,早産・前期破水・母体発熱・母体GBS(B群溶血性レンサ球菌)保菌がリスク因子とされている.原因菌としてGBS,大腸菌,リステリアが挙げられる.遅発型は水平感染が多く,原因菌としてブドウ球菌,GBS,大腸菌,緑膿菌が挙げられる.

B診断

・症状は非特異的で「何となく元気がない(not doing well)」などの漠然とした症状で発症することが多い.

血液培養を提出する.全身状態が許せば髄液検査も行う.

◆治療方針

 各種培養検査を行ったのち,すみやかに抗菌薬を投与する.症状が重篤であれば免疫グロブリン投与も考慮する.DICや敗血症性ショックを合併した場合には人工呼吸器管理,昇圧薬投与,輸血などの高度集中治療が必要となる.

A抗菌薬投与

1.早発型

Px処方例 下記のいずれかを用いる.もし髄膜炎が疑われるときは薬剤の髄液移行性を考慮して1)を選択する.

1)アンピシリン(ビクシリン)注 1回75mg/kg 1日4回 静注+セフォタキシム(クラフォラン)注 1回50mg/kg 1日3回 静注

2)アンピシリン(ビクシリン)注 1回50mg/kg 1日4回 静注+ゲンタマイシン(ゲンタシン)注 1回5mg/kg 1日1回 点滴静注

2.遅発型

 全身

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