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ニュートピックス
・2017年のてんかんに対する国際抗てんかん連盟の分類に沿う形で,2021年に新生児発作の新しい分類と枠組みが提唱された.
治療のポイント
・新生児発作の診断には脳波検査が必須である.
・新生児発作の大半は急性脳侵襲の症候の1つとして出現するため,呼吸循環状態を安定させ,病因である原疾患の治療と並行して抗発作薬を使用する.
◆病態と診断
A病態
・新生児発作の病因は,低酸素性虚血性脳症,脳血管障害(頭蓋内出血・梗塞など),脳形成異常,中枢神経感染症,急性代謝障害,素因性(新生児発症てんかん)など多岐にわたる.
・新生児発作は,臨床症状を認めるものと電気的な活動のみで臨床症状を認めないものに分けられる.
・新生児発作は原則すべて焦点起始発作であり,運動性(自動運動・間代発作など),非運動性(自律神経発作と動作停止),および変遷性発作と未分類発作に分類される.
B診断
・臨床症状のみでの新生児発作の診断は困難であり,脳波検査で発作時脳波を確認し新生児発作と診断する.
・臨床症状で新生児発作を疑った場合や全身状態不良な児では,積極的に脳波モニタリングを施行すべきである.
・病因検索のため,血液検査(血糖,Na,Ca,Mg,NH3 など),各種培養検査,画像検査などをすみやかに行い,新生児発作を引き起こした病因に対する治療を開始する.
◆治療方針
A基礎疾患に対する治療
1.低血糖
Px処方例
2.低Ca血症
Px処方例
グルコン酸カルシウム(カルチコール薬)注(8.5%) 1回2~3mL/kg(Caとして約0.7~1.7mEq/kg) 静注.その後必要に応じて持続点滴静注
B新生児発作に対する抗発作薬
Px処方例 下記の1)を用い,無効・効果不十分の場合は2)~5)を適宜併用する