頻度 あまりみない
ニュートピックス
・従来のビタミンK2 投与法(3回法)では新生児胆汁うっ滞の症例などで重篤なビタミンK欠乏性出血症の報告が散見されるため,2021年11月,日本小児科学会ほか関連16学会共同で,哺乳確立時,生後1週または産科退院時のいずれか早い時期,その後は生後3か月まで1週に1回,ビタミンK2 を投与する3か月法が提言された.
治療のポイント
・予後は比較的良好である.多くは6か月以内に黄疸が消失し,12か月以内には肝機能も正常化する.
・治療は栄養管理,脂溶性ビタミンの補充,利胆薬投与などの対症療法が主体となる.
・まれに重症化し,肝生検や肝移植などの高度な検査・治療が必要になる症例がある.
◆病態と診断
A病態
・新生児期あるいは乳児期早期に認められる胆汁うっ滞(新生児胆汁うっ滞;neonatal cholestasis)が通常,診断の契機になる.
・新生児胆汁うっ滞の病因は多岐にわたる(図).肝内疾患のうち肝内胆管の障害(肝内胆管低形成あるいは減少症)を除く肝細胞障害を呈し,既知の遺伝性・代謝性疾患やウイルス性疾患などが除外されたものを特発性新生児肝炎(INH:idiopathic neonatal hepatitis)とよぶ.
・近年の診断技術の進歩により,新生児胆汁うっ滞のなかに占める“特発性”新生児肝炎の割合は減少し,新生児肝炎の疾患概念は大きく変化しつつある.
B診断
・INHの多くは生後2か月以内に顕性黄疸で発症し,直接ビリルビン値の上昇(1.5mg/dL以上,あるいは直接ビリルビン/総ビリルビン比が30%以上)を認める.
・灰白色便(または淡黄色便)および濃黄色の尿を呈するが,便色は変動することがある.便色の評価には母子手帳の便色カードの使用が有用である.
・新生児胆汁うっ滞を疑った場合,まずは早急に胆道閉鎖症(BA:biliary atresia)を鑑別する必