診療支援
治療

早産児の栄養管理
nutritional management of preterm infants
和田友香
(国立成育医療研究センター・周産期・母性診療センター新生児科医長(東京))

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ニュートピックス

・日本にも母乳バンクが設立され,ドナーミルクの使用が可能となった.

治療のポイント

・経腸栄養のfirst choiceは母乳である.

・出生体重が1,500g未満,特に1,000g未満の児で自母乳(その児の母親自身の母乳)が足りない場合には,ドナーミルクの使用が望ましい.

・極低出生体重児ではプロバイオティクス,経静脈栄養を併用する.

◆病態と診断

A病態

・早産で出生するため,臓器の機能が未熟かつ脆弱である.

・人工乳栄養児は母乳栄養児より壊死性腸炎のリスクが高い.

B診断

・37週未満で出生した児を早産児という.

・出生体重が2,500g未満の児を低出生体重児,1,500g未満の児を極低出生体重児,1,000g未満の児を超低出生体重児という.

◆治療方針

 早産児であってもできるだけ早期から母乳栄養を開始し,腸内細菌叢の確立のためにプロバイオティクスの投与を行う.早産児,特に極低出生体重児では経静脈栄養を併用する.

 2019年の「早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言」も参照されたい.

A経腸栄養

 できるだけ早期(12~24時間以内)に母乳の投与を開始する.出産直後に得られる母乳は少量であるが,含まれている栄養成分,細胞成分は栄養面や感染防御面に有利に働くため,凍結したり温め直したりして成分を破壊することのないよう,生のまますみやかに投与する.

 10~20mL/kg/日,分8から開始し,連日同量ずつ増量して140~160mL/kg/日とする.

Bドナーミルク(DHM:donor human milk)

1.DHMの種類

 1人のドナーから提供されたDHMと複数のドナーから提供されたDHMの2種類がある.前者は短期間使用の際に,後者は長期間使用の際に使用する.

2.DHMの安全性

 提供された母乳は低温殺菌して提供されている.HACCP(Hazard Analysis an

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