診療支援
治療

小児の輸液・経口補水
intravenous fluid and oral rehydration therapy in children
加藤宏樹
(国立成育医療研究センター・手術・集中治療部集中治療科(東京))

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治療のポイント

・「是正輸液療法」を行う場合,代償性ショック/低血圧性ショックに注意する.

・軽度~中等度の脱水の際には経口補水療法も検討する.

・小児は成人と比較して低血糖のリスクが高いことを認識する.

◆病態と診断

・臨床の現場で行われることが多い「是正輸液療法」(現時点で不足している水・電解質を補充する療法)について解説する.

を用いて脱水の重症度を「軽度」,「中等度」,「高度」のいずれかに分類する.

・子どもの低血圧は見逃されやすいため,中等度~高度脱水かつ具合が悪い子どもでは必ず血圧を測定する.

◆治療方針

 脱水の重症度に応じて治療方針を選択する.特に低血圧性ショックは心停止が迫っている緊急事態であり,輸液の急速投与を躊躇せずに行う必要がある.

 小児は成人と比較して低血糖のリスクが高く,重症度の高い脱水では必ず血糖値を測定する.小児の低血糖の基準は「血糖値60mg/dL以下」と定義される.低血糖の補正は20%ブドウ糖液2.5~5mL/kg/回(ブドウ糖として0.5~1g/kg/回)で行う.

A重度脱水

1.低血圧性ショック

Px処方例

 生理食塩液または糖非含有リンゲル液(ソルアセトF輸液やラクテック注)(等張液) 1回20mL/kg 5~10分間で急速静注

‍ ●治療の変更の指標 数分間の間隔で血圧を測定,血圧が改善しない場合は追加で20mL/kgを投与.

2.代償性ショック

Px処方例

 生理食塩液または糖非含有リンゲル液(ソルアセトF輸液やラクテック注)(等張液) 1回10mL/kg 1時間で投与

‍ ●治療の変更の指標 投与後に循環不全徴候が改善しない場合は10mL/kgを追加で投与.

注意 重度の脱水では糖非含有輸液製剤を用いるため輸液投与後に低血糖を引き起こす可能性があり,必要に応じて輸液後に血糖値を測定する.一方,糖含有輸液製剤を是正輸液に用いると医原性

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