頻度 ときどきみる
GL先天性心疾患並びに小児期心疾患の診断検査と薬物療法ガイドライン(2018年改訂版)
治療のポイント
・直ちに抱っこ,膝胸位をとらせて,鎮静をはかる.
・躊躇なく酸素投与,静脈ルートを確保して薬物治療を開始する.
・薬物治療により改善が乏しい場合,緊急手術の適応である.
・リスクのある先天性心疾患をあらかじめ診断し,発作を予防する.
◆病態と診断
A病態
・ファロー四徴症,三尖弁閉鎖症(b型)をはじめとする心室中隔欠損と右室流出路狭窄を伴う先天性チアノーゼ性心疾患で,急激にチアノーゼが増強し,高度の低酸素血症をきたす発作である.
・症状としては,急に不機嫌になりチアノーゼが増強し,不穏,多呼吸,呼吸困難が認められる.
・重症ではけいれん,失神,代謝性アシドーシスをきたし,改善しなければ生命にかかわる.
・新生児期には少なく,生後3か月頃より出現して徐々に頻度が増加する.
・激しい啼泣,排便,哺乳,入浴,麻酔の導入および覚醒,発熱,脱水,貧血,気管内吸引などが発作の誘因となる.
B診断
・先天性心疾患の形態診断,特に心エコー図による右室流出路狭窄の評価により,低酸素発作を起こすリスクのある病型かどうかをあらかじめ診断することが重要である.
・リスクのある先天性心疾患患者において,(上記の誘因に引き続き)症状が認められ,平常時に聴取されていた右室流出路狭窄による収縮期雑音が減弱ないし消失していれば診断の決め手となる.
◆治療方針
A発作の治療
治療の目的は,不穏・苦悶を取り除くことで心拍数と酸素消費量を減少させるとともに,体血管抵抗を上昇させ,肺血流量を増加させることである.
1)直ちに抱いて泣き止ませる.その際には胸膝位をとらせ,大腿動脈を屈曲圧迫して体血管抵抗を増大させる.
2)酸素吸入する.
3)鎮静薬を使用する.
Px処方例