診療支援
治療

小児の便秘症
constipation in children
奥田真珠美
(兵庫医科大学教授・小児科学)

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GL小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2013

治療のポイント

・まず,器質性か機能性便秘かを見極める.器質性便秘を疑う徴候があれば,薬物治療を試さずに専門医にコンサルトする.

・慢性機能性便秘と診断した場合は,便秘の程度を評価する.小児では直腸性便秘が多く,直腸内の便貯留を腹部エコー検査などで確認する.直腸の拡張,排便を我慢する,便漏れ(遺糞症)がある場合は薬物治療には反応しにくく難治である.

◆病態と診断

A病態

・便秘とは便が滞った,または便が出にくい状態で,器質性と機能性がある.

・器質性便秘をきたす原因は腸管神経異常直腸肛門奇形内分泌疾患,薬剤性などである.胎便排泄遅延(48時間以上),生後1か月までに始まる便秘,肛門の形態・位置異常,重度の腹部膨満仙骨部皮膚陥凹甲状腺の異常などは器質性便秘を疑う.

・器質性疾患を認めない便秘は機能性便秘である.乳幼児期の排便困難などがきっかけで,便が直腸に貯留し,硬便になり排便時の痛み・不快感を経験する.排便への恐怖感や嫌悪感をもち,便意がきても我慢をするようになる.さらに便が貯留し,直腸が拡張することで便意がなくなり,大便塊が直腸内に貯留し悪循環に至る.

B診断

・器質性便秘を見逃さないために,胎便排泄時期,便秘の発症年齢(月齢),薬剤内服歴などの問診と基礎疾患を念頭においた診察を行う.乳児期早期の発症では,肛門視診は必須である.肛門の位置(男児では陰嚢後縁と尾骨先端のほぼ中央,女児では後陰唇と尾骨先端の前方1/3に開口),肛門の形,会陰溝(perineal groove)の有無を観察する.直腸診では正常な肛門は乳児では小指挿入,幼児では示指挿入が可能であるが,慣れない場合は無理せず専門医にコンサルトする.

・機能性便秘で継続した治療が必要となるのは,慢性機能性便秘である.

 ・診断基準:以下の2項目以上を少なくとも1か月にわ

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