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GL小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン 2016年版
ニュートピックス
・再発・難治の急性リンパ性白血病に対し,二重特異性抗体(ブリナツモマブ)や遺伝子改変T細胞(CAR-T)などの免疫機序を利用した薬剤の有効性が確認された.
・白血病の発症の背景に,遺伝的ながん易罹患性(cancer predisposition)が一定の割合で存在することが明らかとなった.
治療のポイント
・芽球の形態,免疫形質,白血病細胞のゲノム異常による病型分類に基づき適切な治療骨格を選択し,さらに予後因子により治療強度を調整することが重要である.
・発熱や倦怠感など,非特異的な症状が長引くことを契機に診断されることが多い.一方で,縦隔腫大や白血球増多など,早急に対処が必要なoncologic emergencyがある.
・晩期合併症についての長期フォローアップが必要である.
◆病態と診断
A病態
・造血器の悪性腫瘍であり,白血病細胞の増殖により骨髄の造血が抑制されることで,貧血や血小板減少をきたす.正常な白血球は減少するが,芽球(白血病細胞)が末梢血に出現することで,白血球数としては増加していることもある.
・中枢神経への浸潤があると,頭痛や神経麻痺などの症状につながる.
B診断
・確定診断は骨髄検査によりリンパ芽球を確認することでなされる.形態診断,免疫染色,細胞表面マーカー解析により,急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病などに細分類を行う.
・分子遺伝学的検査が病型診断に必須である.核型分析(G分染法)やキメラ遺伝子解析などが標準的な検査として実施される.
◆治療方針
多剤併用化学療法が標準である.病型に基づいた治療骨格のもと,予後因子により推定される再発リスクに基づき層別化治療を行う.また,髄腔内注射により中枢神経浸潤への対策を行う.かつて実施していた頭蓋放射線照射の適応は縮小している.高リスク群に対