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ニュートピックス
・尿検査試験紙(テステープ)を用いた尿蛋白検出においては,近年,尿蛋白/Cr比を測定できる試験紙が導入され,偽陽性・偽陰性率が大幅に低下している.
・高度蛋白尿を有する場合や幼少時から血尿・蛋白尿を呈する場合は遺伝性腎炎の可能性があり,その場合は積極的に遺伝学的検査を考慮する(保険適用外,genetics-first approachとよばれる).
治療のポイント
・早朝第1尿で検査を行い,その結果をもとに,検尿のフォローの必要性の有無や確定診断の必要性の有無を判定する.
・尿蛋白を呈する場合は腎生検を,また家族歴を有する場合は遺伝学的検査を施行し,確定診断を行う.
・診断結果に基づき適切な治療法の選択を行う.
◆病態と診断
A病態
・国内においては3歳児検尿・学校検尿のシステムが確立しており,無症状の発症早期の時点で検尿異常が効率よく検出される.
・思春期以降の女児では,月経血の混入による尿潜血反応偽陽性例が非常によくみられる.
・尿潜血陽性の場合,検鏡による赤血球形態の確認を行い,変形赤血球の混入が認められれば糸球体腎炎の存在を疑う.
・体位性尿蛋白の混入を防ぐため,就寝前排尿を行い,早朝第1尿を採取することを指導する必要がある.
・思春期以降の男児では,精管分泌物の混入で尿蛋白は偽陽性となることがある.
・尿潜血を伴う尿蛋白(尿蛋白/Cr比0.15g/gCr以上),または中等度蛋白尿(尿蛋白/Cr比0.5g/gCr以上)が持続する場合に慢性糸球体腎炎を疑い,腎生検または家族歴を有する場合は遺伝学的検査を考慮する.
B診断
・以下に検尿異常とその対策に関して記載する.
1.尿潜血のみ認める場合(ただし尿潜血陽性は沈渣で赤血球5個/HPF以上とする)
・6か月から1年ごとの定期フォローを行う.ただし腎不全の家族歴を有する場合は遺伝学的検査を考慮する.
2.尿蛋白のみ認める場合
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