診療支援
治療

くる病
rickets
田中弘之
(岡山済生会総合病院・小児科診療顧問)

頻度 ときどきみる

治療のポイント

・家族歴の聴取は先天性か後天性かを判断するうえで重要である.

・先天性で高頻度のものはX連鎖性低P血症性くる病であるが,骨異形成症のなかにもくる病に似た骨変化をきたすものがあることに注意する.

・後天性で頻度の高いものはビタミンD欠乏性くる病であり,ほかの栄養障害を併発していないか注意するとともに,食事内容を中心とする生活習慣の改善にも留意する.

◆病態と診断

A病態

・くる病は,骨・軟骨の石灰化障害で生じた骨幹端の異常と骨軟化症を合わせた病態である.

・石灰化障害は低P血症により生じ,その原因には,①ビタミンDの作用不足(ビタミンD欠乏性くる病など),②電解質代謝異常(ファンコーニ症候群,慢性腎不全,高Ca尿症を伴う低P血症性くる病),③FGF23の作用過剰(X連鎖性低P血症性くる病などの家族性低P血症性くる病)があり,原因によって治療方針は大きく異なる.

B診断

歩行開始の遅れや歩容の異常,O脚・X脚などで気づかれる.頭蓋癆,肋骨念珠,ハリソン溝,関節腫脹,低身長などの症状がある.低Ca血症のため,けいれんやテタニーで気づかれることも多い.

1.検査

・単純X線像ではくる病変化(骨幹端の杯状陥凹,または骨端線の拡大や毛羽だち)を長管骨骨幹端で認める.下肢骨正面X線像は必ず撮影しておく.

・血液検査では高ALP血症低P血症を認める.ビタミンDの作用不足の場合には低Ca血症高副甲状腺ホルモン(PTH)血症がみられる.病態にFGF23が関与する場合には,FGF23は30pg/mL以上の高値となる.ビタミンD欠乏の場合には25水酸化ビタミンDは20ng/mL未満となる.

◆治療方針

 低Ca血症はけいれんやテタニーの原因となるため,早急に是正する必要がある.骨格の変形の治療には時間を要し,治療が適切に行えていてもO脚が改善しない場合には外科的治療も考慮する.生理的O

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