診療支援
治療

思春期早発症
precocious puberty
菊池 透
(埼玉医科大学教授・小児科)

頻度 ときどきみる

治療のポイント

・性腺抑制療法の適応になる例は少ない.特に,女児で6歳以降,男児で9歳以降に発見される例では,性腺抑制療法による最終身長改善効果は期待できない.最終身長改善を目的に受診する例が多いので,十分に説明をして,不要な治療を避けることが重要である.

◆病態と診断

A病態

・暦年齢に比して2次性徴が早期に発来する状態を思春期早発症という.その結果,最終身長の低下をきたすことがある.また,心理社会的問題をきたすこともある.

・ゴナドトロピン依存性思春期早発症とゴナドトロピン非依存性思春期早発症に大別される.

・ゴナドトロピン依存性思春期早発症は,一部少数の視床下部過誤腫に伴うものを除けば,正常思春期が早期に発来した状態と考えてよい.

・ゴナドトロピン非依存性思春期早発症では,卵巣顆粒膜細胞腫,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)産生腫瘍,クッシング症候群などの器質疾患によるものが多い.また,機能性卵巣嚢腫や肥満による続発性の高副腎アンドロゲン血症も鑑別が必要である.

・従来,女児が男児より発症頻度が高く,男児では器質疾患が多いとされてきたが,学校保健現場での成長曲線作成の普及により,男児の特発性ゴナドトロピン依存性思春期早発症の発見頻度が増加している.

B診断

・主徴候として,男児では,①9歳未満で精巣,陰茎,陰嚢などの明らかな発育が起こる.②10歳未満で陰毛発生があり,③11歳未満で腋毛,ひげの発生や声変わりをみる.女児では,①7歳6か月未満で乳房発育が起こる.②8歳未満で陰毛発生,または小陰唇色素沈着などの外陰部成熟,あるいは腋毛発生が起こる.③10歳6か月未満で初経をみる.

・副症候として身長促進現象骨成熟促進現象を認める.

・内分泌検査では,ゴナドトロピン依存性の場合は,ゴナドトロピンおよび性ホルモンとも思春期レベルまで増加している.ゴナドトロピン非依存性の場合は,ゴ

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