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治療のポイント
・眼炎症は慢性に経過することが多く,再燃・再発や眼合併症が多いことを念頭におく.
・治療は「サルコイドーシス診療の手引き2023」の眼サルコイドーシスの治療手順により,ステロイドによる消炎を第一とする.
・基本はステロイドの点眼治療であるが,不可逆的視機能障害をきたしうる重篤な眼内炎症に対しては,ステロイドの後部テノン嚢下注射や内服を行う.
・上記治療で消炎が得られない症例やステロイド離脱困難症例では,より強力な免疫抑制治療を検討する.
◆病態と診断
A病態
・全身諸臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患であり,呼吸器病変に次いで眼病変が多い.
・本邦のぶどう膜炎の原因疾患として最も多く,約1割を占める.
・肉芽腫性汎ぶどう膜炎を呈することが多く,慢性の経過をたどるため,併発白内障,続発緑内障,黄斑病変などの眼合併症を生じやすい.
B診断
・日本サルコイドーシス・肉芽腫性疾患学会により作成された診断基準に則って診断する.
・サルコイドーシスを強く疑う眼所見6項目(肉芽腫性前部ぶどう膜炎,隅角結節/テント状周辺虹彩前癒着,塊状硝子体混濁,網膜血管周囲炎/血管周囲結節,ろう様網脈絡膜滲出斑/光凝固斑様の網脈絡膜萎縮病巣,視神経乳頭肉芽腫/脈絡膜肉芽腫)のうち2項目以上を有する症例では,血液検査(血清ACE,血清可溶性IL-2レセプター),胸部画像検査,67Gaシンチグラムなどの全身検査を行い,診断基準を満たせば臨床診断がつく.眼病変のほかに,呼吸器病変または心臓病変が存在することが必要である.一方,経気管支肺生検や皮膚生検で組織診断がつく場合もある.
◆治療方針
炎症の部位(前部,中間部,後部,汎)や重症度に応じた治療を行う.治療の基本はステロイド点眼薬および散瞳薬である.不可逆的視機能障害をきたしうる眼内炎症に対しては,ステロイドの後部テノン嚢下注射または内服で