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GLオルソケラトロジーガイドライン(第2版)(2017)
治療のポイント
・学童近視の治療は根治療法ではなく,進行抑制がメインである.
・近視の進行程度と年齢により治療方針が変わる.
・近視進行抑制治療の保険適用となる治療法は2023年7月時点ではない.
・変性近視とは,眼軸長が病的に伸長し,網膜および脈絡膜にさまざまな病的変化をみる疾病であり,根本的な治療法はなく,緑内障など合併した疾患に対する治療,すなわち対症療法となるため,他項〔→,「緑内障(薬物療法)」の項など〕参照.
◆病態と診断
A病態
・近視とは,無調節の状態で眼に入る平行光線が網膜の前方で結像する眼の屈折状態を指す.
・近視のほとんどでは,眼の奥行き(眼軸長)が長くなる.
・近視の程度が強い強度近視は,網膜剥離,緑内障,近視性黄斑症などを合併しやすく,原則伸びた眼軸長をもとに戻すことは難しいため,近視進行抑制治療が重要である.
B診断
・近視の診断は,一般的には屈折値(等価球面値)が≦-0.5Dとされ,屈折値により下記に分類されるのが一般的である.
1)-0.5D≧弱度近視>-3.0D
2)-3.0D≧中等度近視>-6.0D
3)-6.0D≧強度近視
・特に小児においては,正確な屈折値の評価,眼鏡処方のため調節麻痺薬の使用が必要である.
◆治療方針
近視進行抑制を目的とした治療法のうち保険適用となるものはいまだないが,少なくとも1つ以上のランダム化比較試験の結果が報告され,かつ日本で実施可能な治療に絞り,一部私見を交えながら紹介する.治療法は大きく分けて以下の4つのものが挙げられ,患者の希望を考慮したうえで,年齢,近視の進行程度に応じて治療法を選択する.
A治療法
1.屋外活動と眼鏡処方
屋外活動時間の目標は1日2時間以上である.屋外の光環境が重要で,波長360~400nmのバイオレットライトが重要な役割を果たしている可能性
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