ＧＬアレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第3版（2021）

Ⅰ．季節性アレルギー性結膜炎および通年性アレルギー性結膜炎

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治療のポイント

・治療の目標は，主たる症状である目のかゆみや充血の抑制にとどまらず，日常におけるQOLの低下を防止することである．

・症状の予防や軽減のため，点眼治療に加え，セルフケアが重要である．

・難治性の場合，症状の原因となっているアレルゲンの特定，アレルゲン回避対策をアドバイスする．

・併発するアトピー性皮膚炎，アレルギー性鼻炎のコントロール状態に留意する．

・ステロイド点眼併用時は，眼圧のモニタリングが必須である．

◆病態と診断

・1型アレルギー反応を主体とした結膜の炎症性疾患であり，抗原により惹起される自覚症状や他覚所見を伴うものと定義される．

・季節性アレルギー性結膜炎の原因アレルゲンとしてスギ，ヒノキがある．有病率は，中部地方や首都圏エリアが高い．一方，北海道においては，アレルゲンとしてシラカバが多い．通年性アレルギー性結膜炎においては，原因アレルゲンは，ダニやハウスダストが主体となる．

・臨床診断は，かゆみ，充血，眼脂など特有な臨床症状により診断できる．一方，臨床的確定診断には，涙液中IgE抗体陽性（アレルウォッチ），血清抗原特異的IgE抗体陽性，アレルゲンに対する皮膚反応陽性が用いられる．確定診断には，結膜擦過物中の好酸球陽性を必要とする．

　スギ，ヒノキにおける季節性アレルギー性結膜炎においては，花粉飛散開始の数週間前から抗アレルギー点眼薬を用いた点眼治療を開始する初期療法が推奨される．

　セルフケアに加えて，抗アレルギー点眼薬の使用により症状の抑制や予防が可能である．一方，治療に抵抗性の場合，診断あるいは重症度の評価のため，眼科専門医への紹介が推奨される．

　抵抗例に対して，治療を追加する場合は，涙液IgE定性試験により重症