診療支援
治療

眼球突出
exophthalmos
中馬秀樹
(宮崎大学准教授・眼科)

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GL甲状腺眼症診療の手引き(2020)

治療のポイント

・眼球突出をきたす疾患は多彩である.臨床所見,検査所見,画像検査や病理により診断を確定して適切な治療を行うことが重要である.

◆病態と診断

・眼球突出は,眼窩内に病変があることで生ずる.

・眼球突出の様式と画像検査で診断がある程度推定できる.

・軸性変位で外眼筋腫大があれば甲状腺眼症,筋円錐内腫瘍であれば海綿状血管腫,視神経腫瘍であれば視神経鞘髄膜腫,視神経膠腫が多い.

・非軸性変位で下方に変位し,涙腺部に腫瘍があれば良性混合腫瘍やリンパ腫,前頭洞に腫瘍があれば粘液嚢腫(mucocele),眼窩上壁に腫瘍があれば蝶形骨翼髄膜腫が多い.

・外方変位し,篩骨洞に腫瘍があれば膿瘍またはmucoceleが多い.

・上方変位し上顎洞に腫瘍があれば悪性腫瘍,眼窩脂肪の増生をみればリンパ系腫瘍が多い.悪性リンパ腫は眼窩部MRI,拡散強調画像でADC比が小さい.

・内方変位し,眼球陥凹していれば乳癌(硬癌)の眼窩転移であることが多い.

・最終的には生検し,病理で確定する.

◆治療方針

A甲状腺眼症

 重症度により治療方針が異なる.以下に標準的な処方例を示す.

Px処方例

 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール)注 1回1,000mg 1日1回 点滴静注 3日間,その後プレドニゾロン(プレドニン)錠(5mg) 1日60mg,50mg,40mg,30mg,25mg,20mg,15mg,10mg,5mg(いずれも3日間ずつ)と漸減

 視神経症をきたしている場合は,ステロイドパルス療法を複数回行うこともある.また,パルス後もゆっくり減量し,放射線治療の併用も考慮する.

Px処方例

 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール)注 1回1,000mg 1日1回 点滴静注 3日間,その後プレドニゾロン(プレドニ

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