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治療のポイント
・急性炎症の多くは細菌感染で,慢性炎症の多くはかゆみのために耳を触り,そのため炎症が改善しないという悪循環である.
・原因別,局所所見別に,局所治療に全身治療を組み合わせる.消炎治療とともに耳掃除の禁止,かゆみに対する対症治療を行う.
・治療抵抗性の耳漏,高度の痛みが持続する場合は,真珠腫性中耳炎,外耳道真珠腫,頭蓋底骨髄炎,外耳道癌などの可能性も念頭に専門医へコンサルトする必要がある.
◆病態と診断
A病態
・外耳道炎には急性炎症と慢性炎症があり,外耳道湿疹は慢性炎症に続発または併存するため,慢性外耳道炎との厳密な区別は困難である.
・急性炎症は主に細菌感染によるものが多く,中耳炎が外耳に波及した状態であることもある.
・慢性炎症には外的因子と内的因子があり,前者は,耳かきによる外傷や中耳炎の耳漏,点耳薬やシャンプーなどの化学物質,洗髪,水泳などによる湿潤などがあり,後者は,皮脂分泌状態やアレルギー素因,発汗状態などがある.最も頻度の高い要因は頻回の耳かきである.
B診断
・問診と視診が重要である.耳漏,耳痛,耳瘙痒感,耳閉塞感があり,外耳道の発赤,腫脹,耳漏などを認めることによって診断できる.高度の場合は,耳介が腫脹することもある.
・耳漏がある場合は耳漏培養検査を実施する.
◆治療方針
外耳道炎・外耳道湿疹の治療は,適切な耳処置と外用薬の選択とともに,外的刺激の除去が基本となる.耳かきなど原因となっている習慣がある場合は,必ず中止を促す.
A外耳道の局所治療
1.耳漏があるとき
耳漏を除去し丁寧に清掃・観察する.場合によっては生理食塩液で耳洗浄を実施したうえで,下記の点耳を開始する.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.