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GL音声障害診療ガイドライン(2018年版)
治療のポイント
・原因は多岐にわたるため,適切に病態を判断し,それに応じた治療を行う必要がある.
・治療には,薬物療法,音声治療,手術治療が挙げられる.
◆病態と診断
A病態
・音声障害とは,音質,声の高さ,声の大きさ,発声努力などの変化により,コミュニケーションを損なう,あるいは声のQOLが低下することである.
・「音声障害診療ガイドライン」では,喉頭の組織異常,喉頭の炎症性疾患,喉頭の外傷,全身性疾患,音声障害をきたす呼吸器・消化器疾患,心理的疾患・精神疾患,神経疾患,その他の音声障害(機能性発声障害を含む),原因不明の音声障害に大別されている.
B診断
・音声障害の診療にあたっては喉頭の観察が重要であり,喉頭内視鏡検査を行うことが推奨される.経鼻的な軟性鏡(電子内視鏡やファイバースコープ)が広く普及している.
・喉頭内視鏡での観察のポイントは,声帯自体の病変,声帯の運動障害,声門閉鎖の調節障害である.
・声帯自体の病変の代表的なものは,炎症性疾患では急性喉頭炎,良性腫瘤性病変では声帯ポリープ,良性腫瘍では喉頭乳頭腫,悪性腫瘍では喉頭癌である.
・声帯の運動障害の代表的なものは反回神経麻痺である.
・声門閉鎖の調節障害の代表的なものは,心因性発声障害やけいれん性発声障害である.
◆治療方針
病態に応じて薬物療法,音声治療,手術治療を適切に選ぶが,複数の治療を行うことも多い.
A薬物療法
1.抗炎症
炎症性疾患では消炎をはかる.粘性の高い痰は咳払いを誘発し,声帯の炎症を招く誘因となるため,カルボシステインも有用である.
Px処方例 下記の1)を用い,2)も適宜併用する.