頻度 ときどきみる
治療のポイント
・患者の音声・言語の所見を次の4つのレベル,A発声レベル,B構音レベル,Cプロソディのレベル,D言語学的レベルに分け,それぞれの障害を分析的に検出する.
・治療の基本は,言語聴覚士(ST:speech therapist)によるリハビリテーション.
◆病態と診断
A発声レベル:発声障害(音声障害)
・喉頭音源のレベル.嗄声などの,声そのものの障害.「音声障害」の項(→)参照.
B構音レベル:構音障害
・喉頭音源の共鳴と気流雑音によって産出される分節的言語音レベル(音素・音節・モーラ)の障害.機能性構音障害,器質性構音障害,運動障害性構音障害に分類される.
Cプロソディのレベル:吃音など
・複数の音素・音節・モーラが結合した単語や文における,リズム・アクセント・流暢性といった超分節的言語音のレベルの障害.流暢性の障害である吃音が代表的である.
D言語学的レベル:失語症など
・意味・文脈(コンテクスト)・言語発達といった高次の言語レベルの障害.失語症,言語発達遅滞,コミュニケーション障害などが挙げられる.
◆治療方針
A発声レベル:発声障害(音声障害)
「音声障害」の項(→)参照.
B構音レベル:構音障害
1.機能性構音障害
音素の置換(例えば,さ行がた行に),省略,歪みといった所見がみられる.正常な構音の獲得までに一時的に出現する「未熟構音」(赤ちゃん言葉)と,遷延しやすい「異常構音」(側音化構音,口蓋化構音など)とがある.両者,特に後者はSTによる訓練の適応になる.
2.器質性構音障害
唇顎口蓋裂が代表的で,手術とSTによる訓練の組み合わせが治療の基本となる.診断上特に注意すべきものとしては粘膜下口蓋裂があり,口蓋垂裂がみられる場合,必ず口蓋骨を触診し,短縮や正中部骨欠損の有無をチェックする.
3.運動障害性構音障害
神経学的障害によって起こる構音障害で,脳血管障害による構