診療支援
治療

舌痛症
glossodynia
小林 恒
(弘前大学大学院教授・歯科口腔外科学)

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治療のポイント

・鑑別として口腔粘膜疾患,口腔カンジダ症,貧血などの血液疾患を除外する.

・萎縮性口腔カンジダ症による疼痛のこともある.

・原因は不明であるが心理的要因が大きく影響している場合が多く,精神神経科へのコンサルトが必要となることがある.

・完全な症状消失は難しく,日常生活に支障がない程度になることを目標とする.

◆病態と診断

A病態

・舌痛症は,症状に見合う器質的疾患がないにもかかわらず,舌にぴりぴり感,ひりひり感,灼熱感のような疼痛を自覚する疾患であり,口腔内灼熱症候群(BMS:burning mouth syndrome)に分類される.

・症状の背景には心理的精神的要因が関係していることが多い.

B診断

・歯性疾患も含めて痛みの原因となる器質的疾患が存在しないことが重要である.

・最初にスクリーニングとしてカンジダ菌の検査を行い,陽性の場合にはまず抗真菌薬の投与を行うことで症状が消失することが多い.

・うつ病,統合失調症などの精神疾患にも関連した症状の場合がある.

・難治性の場合には精神科へのコンサルトも検討する.

◆治療方針

 治療は薬物療法が基本であり,向精神薬が中心となる.漢方薬では柴朴湯,加味逍遙散,麦門冬湯が有効である.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.舌痛症に対しては2)~6)は保険適用外.

1)ミコナゾール(フロリード)ゲル経口用 1回5g 1日4回 口腔内塗布

2)ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)錠(1mg) 1回1~2錠 1日1回保外

3)アミトリプチリン(トリプタノール)錠(10mg) 1回1錠 1日1回 就寝前.徐々に増量,1日最大150mg(1~3回に分服)保外

4)ミルナシプラン(トレドミン)錠(12.5mg) 1回1錠 1日2回.1回50mgまで増量保外

5)柴朴湯エキス顆粒(2.5g/包) 1回1包 1日3回保外

6)加味逍遙散エキス顆粒(

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