診療支援
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介護保険制度における主治医意見書について
江澤和彦
(日本医師会・常任理事)


1.主治医意見書の位置付け

 介護保険の被保険者が保険によるサービスを利用するためには,介護の必要性の有無やその程度等についての認定〔要介護・要支援認定(以下,要介護認定等という)〕を保険者である市町村から受ける必要がある.

 この要介護認定等は,市町村職員等(認定調査員)による訪問調査によって得られた情報および主治医の意見に基づき,市町村等に置かれる保健・医療・福祉の学識経験者から構成される介護認定審査会において,全国一律の基準に基づき公平・公正に行われる.

 介護保険法では,被保険者から要介護認定等の申請を受けた市町村は,当該被保険者の「身体上又は精神上の障害(生活機能低下)の原因である疾病又は負傷の状況等」について,申請者に主治医がいる場合には,主治医から意見を求めることとされている.主治医意見書(以下「意見書」)は,この規定に基づき,申請者に主治医がいる場合には,主治医がその意見を記入するものであり,その様式等については全国で統一されたものが使用されている.

 要介護認定等の結果によって,申請を行った高齢者は介護保険によるサービスを利用できるかどうかが,また利用できる場合には在宅サービスの上限や施設に支払われる報酬が決定されることから,審査判定に用いられる資料である意見書の役割はきわめて大きいものといえる.

 介護認定審査会では,医療関係者以外の委員もその内容を理解したうえで審査判定を行うことになるので,なるべく難解な専門用語を用いることは避け,楷書で平易にわかりやすく記入する.

2.意見書の具体的な利用方法

 意見書は,介護認定審査会において,主として以下のように用いられる.

(1)第2号被保険者の場合,生活機能低下の直接の原因となっている疾病が特定疾病に該当するかどうかの確認 申請者が40歳以上65歳未満の場合は,要介護状態の原因である身体上または精神上の生活機能低下が政令で定

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