診療支援
治療

神経難病患者のケア
care for patients with neural intractable disease
藤元流八郎
(医療法人社団鳳優会・理事長(東京))

Ⅰ.パーキンソン病

治療のポイント

・一方向性に悪化する疾患であり,多彩な症状や合併症を併発すること,薬物の効果も不安定になっていくこと,経過中レヴィ小体型認知症などの関連疾患に移行する場合があることを説明する.

・それぞれの症状が日常生活をどのように阻害しているのかを把握し,生活の質を維持することに重点をおく.不随意運動や幻視が強くても苦痛がない場合は,トイレ歩行ができる程度の運動機能を保つよう処方を行うなど,患者側の希望に沿うと喜ばれる.

◆病態と診断

・在宅管理では初診時にすでに精査診断がなされているため,神経症状のチェック,薬物調整,合併症の対処が診療項目となる.

・主症状である動作緩慢,安静時振戦,歯車様筋強剛,姿勢反射障害,加えて姿勢異常やすくみ現象などに悪化があるのか,症状の日内変動がどの程度なのか,ということを随時評価する.内服時間と経時的症状変化を患者側に記載させるのもよい.

◆治療方針

A薬物コントロールのポイント

 病院処方は在宅移行後すぐに変更せず,1か月ほど状態把握に努める.拙速な薬剤変更で症状が悪化した場合,患者側に不信感が生じることがある.

 他院処方の薬剤でパーキンソニズムの副作用があるものを排除し,内服の徹底(在宅で内服状態不良が判明することが多い),厳格な排便管理を行い,抗パーキンソン病薬が本来の効果を発現できるようにする.これだけで症状の改善が得られることがある.以後薬剤調整を行う.

 症状が悪化した場合,薬物の不足によるものなのか,過剰によるものなのかを把握する.動作緩慢や筋強剛が強いなどの場合は不足,幻視やジスキネジアが強い場合は過剰なことが多い.これを基にドパミン系薬剤の増減を行う.

 過度な分割投与の結果,内服していない場合がある.十分な聴き取りを行い,内服可能な回数への変更を検討する.カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬や,モノアミン酸

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