Ⅰ.パーキンソン病
治療のポイント
・一方向性に悪化する疾患であり,多彩な症状や合併症を併発すること,薬物の効果も不安定になっていくこと,経過中レヴィ小体型認知症などの関連疾患に移行する場合があることを説明する.
・それぞれの症状が日常生活をどのように阻害しているのかを把握し,生活の質を維持することに重点をおく.不随意運動や幻視が強くても苦痛がない場合は,トイレ歩行ができる程度の運動機能を保つよう処方を行うなど,患者側の希望に沿うと喜ばれる.
◆病態と診断
・在宅管理では初診時にすでに精査診断がなされているため,神経症状のチェック,薬物調整,合併症の対処が診療項目となる.
・主症状である動作緩慢,安静時振戦,歯車様筋強剛,姿勢反射障害,加えて姿勢異常やすくみ現象などに悪化があるのか,症状の日内変動がどの程度なのか,ということを随時評価する.内服時間と経時的症状変化を患者側に記載させるのもよい.