診療支援
治療

感染症対策
infection prevention measures
佐々木淳
(医療法人社団悠翔会・理事長(東京))

ニュートピックス

・2023年5月より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類感染症に分類された.これにより新型コロナウイルス患者の行政上の取り扱いは変わるが,医療・介護現場での対応は基本的には変わらない.

治療のポイント

・在宅患者の多くは要介護高齢者であるか,または複数の基礎疾患や障害を有しており,感染症による重症化・死亡のリスクが高い.

・感染症対策の基本はワクチン接種と感染予防である.しかし,感染予防を目的とする人との交流の制限や隔離は,本人の生活の質のみならず身体機能・認知機能を低下させる.感染予防においてはリスクに対するバランス感覚が求められる.

・感染力の強いウイルスは,家庭や施設などでアウトブレイクを生じることがある.本人に対する最適な治療とともに,感染拡大を抑制するための介入が重要になる.

・在宅医療で問題となるウイルス感染症の多くは急性・一過性の経過であるが,感染症の治癒後に衰弱が進行していくケースをしばしば経験する.

・感染症も日常生活のリスクの1つとして本人・家族などとあらかじめ共有し,感染した場合にどこまでの治療を希望するのか考えておくことも大切である.

◆病態と診断

A病態

・在宅医療で特に問題となる(感染力が強く,感染者の生命や生活に大きな影響を及ぼしうる)ウイルスとしては,①新型コロナウイルス(SARS-CoV-2),②インフルエンザウイルス,③ノロウイルスがある.ウイルス以外の感染症(結核や疥癬など)に遭遇することもある.それぞれの詳細については本書第3章の該当項目を参照されたい.

・新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスやノロウイルスとは異なり,発症前から感染力を有する.特に市中における感染拡大期には,症状の有無にかかわらずユニバーサルプリコーションを徹底する.

B診断

・新型コロナウイルス,インフルエンザウイルス,ノロウイルスについては迅速抗原検査

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