診療支援
治療

Ⅱ.患者申出療養制度
後藤 悌
(国立がん研究センター中央病院・呼吸器内科外来医長)


 患者申出療養制度は,保険外併用療養費制度の1つとして2016年に開始された.患者が,「未承認薬などをいちはやく使いたい.対象外になっているけれど治験を受けたい」と考えた場合に医療関係者に申出をする.例えば以下のような場合が考えられる.

1)先進医療として過去に行われていたが,現在は患者を募集していない治療を受けたい場合.

2)遠くの病院でしか行われていない治療を自宅近くの病院で受けたい場合.

3)日本では一般的ではないが海外では行われている治療を受けたい場合.

4)治験を受けたかったが対象外になってしまい,同じ治験を受けたい場合.

 このようなケースでは,患者の申出が起点となり医師や関連病院などが連携して,対応できるかを検討する.国が安全性・有効性などを確認すること,保険収載に向けた実施計画の作成を臨床研究中核病院に求め,国において確認すること,および実施状況などの報告を臨床研究中核病院に求めることとしたうえで,保険外併用療養費制度のなかに位置付けられている(図1).

 申出を受けた医師・病院は,臨床研究中核病院を経由して厚生労働省保険局医療課に必要書類を提出し,患者申出療養評価会議により,安全性,有効性,実施計画の内容が審査される.患者申出療養にかかる費用は実費負担であり,未承認薬の費用は全額自己負担となる.臨床研究中核病院および特定機能病院に係る患者申出療養相談窓口は2023年9月時点で79病院となっており,さらに6病院が追加予定である〔患者申出療養相談窓口設置病院一覧https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000125924.html〕.また,この治療にかかる医療費は保険診療ではないので病院によって違うが,薬剤については製薬会社からの提供となる場合もある(図2).

 2022年の報告では患者申出療養の技術数は8種類,

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