作成グループ名
日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン作成委員会」(委員長:小川 渉)
作成時期
2022年12月2日に書籍として刊行(ライフサイエンス出版),日本肥満学会ホームページより閲覧可.
準拠したエビデンスの分類,勧告,推奨の分類など
日本肥満学会では2000年に「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」,2006年に「肥満症治療ガイドライン2006」,2011年には「肥満症診断基準2011」を発表してきた.昨今,科学的根拠に基づく医療(EBM:evidence-based medicine)が提唱されるようになり,「肥満症診療ガイドライン2016」では,診療の指針となるべきステートメントを表示し,各ステートメントについて,科学的根拠の水準を表す「エビデンスのレベル」と,その推奨の強さを表す「推奨グレード」が付記された.一方で,肥満症については,必ずしも大規模臨床試験や無作為化比較試験などのエビデンスレベルの高い研究が十分集積されておらず,特に国内の成績としてエビデンスの高い報告がないのが現状である.そのため,エビデンスレベルは細分化せず,以下の3段階にとどめている.「肥満症診療ガイドライン2022」でも,この方針を踏襲している.
レベルI:無作為化比較試験や大規模疫学調査,メタアナリシスに基づくデータがある
レベルII:小規模の無作為化比較試験や非無作為化研究がある
レベルIII:専門家の合意(コンセンサス),あるいは標準的治療
レベルIIIは,現状では支持する研究が少ないものの,必ずしもI,IIに劣っているわけではなく,今後成果が実証されればIあるいはIIに引き上げられる可能性があるとしている.
また治療の推奨度については,以下の4段階に区分されている.
グレードA:行うよう強く勧められる(その治療に対してエビデンス,もしくは一般的合意がある)
グレードB:行うよう勧め