低Na血症
●低Na血症は日常診療で問題となる電解質異常の中で最も高頻度であり,入院患者,特に高齢者,ICU,精神科領域でよく見られる.
●Na濃度と症状との関連は一貫性がない(急性か慢性かが重要)が,Naが125mEq/L未満は消化管症状・精神症状を呈する1つの目安で,115mEq/L未満は生命の危険があるとされる.
●入院患者の1-2%で低Na血症は見られ,高Na血症の10倍の頻度とされる.またICU患者の14.6%がNa≦130mEq/Lで,2.3%はNa≦120mEq/L,0.7%がNa≧150mEq/Lとされる〔Minerva Anestesiol. 2006 Jun; 72(6): 353-6〕.
●Na<130mEq/Lは入院患者の3-5%で見られるが,Na≦110mEq/Lであるのは0.2%のみ〔J R Soc Med. 1989 Aug; 82(8): 479-83〕.
●市中高齢者の7.2%,高齢入院患者では30%近くで低Na血症を認める〔Am Fam Physician. 2000 Jun 15; 61(12): 3623-30〕.
●精神科病院入院患者の10.5%で低Na血症を認める〔Jpn J Psychiatry Neurol. 1992 Dec; 46(4): 883-9〕.
●高齢者でSSRIの処方を受けると39%で低Na血症が見られるとの報告もある〔Int J Geriatr Psychiatry. 2002 Mar; 17(3): 231-7〕.
●低Na血症(Na<130mEq/L)の原因
低Na血症の鑑別手順1
●血漿浸透圧を測定して低値(<280mOsm/L)であることを確認し,偽性低Na血症を否定する.
●特に高血糖が臨床的によく遭遇する偽性低Na血症の原因で,血糖が100mg/dL上昇するとNaは見かけ上およそ2mEq/L低値となる.
●偽性低Na血
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