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8 尿路結石症

尿路結石症の疫学

50歳以下の男性における急性の腰背部痛や腹痛患者では尿管結石を高頻度に認める.

尿管結石ではCa結石が圧倒的に多く尿酸結石が続く.一方,高齢女性の膀胱結石では慢性膀胱炎によるリン酸マグネシウムアンモニウム結石が多い.

尿管結石発作を来した患者の半数は10年以内に再発するが,再発患者では基礎疾患として原発性副甲状腺機能亢進症,高Ca尿症(特発性やビタミンD投与),高尿酸尿症,遠位尿細管アシドーシス,シスチン尿症がないかを検討する.

腹痛患者の2-3%が尿管結石といわれる.

白人男性の12-15%,白人女性の5-6%が一生涯の間で尿管結石を経験する〔J Clin Pathol. 2005 Feb; 58(2): 134-40〕.

尿管結石発作は脱水傾向となりやすい夏に多く,また早朝4時台に発症がピークで17時頃が一番少ない〔BMJ. 2002 Mar 30; 324(7340): 767〕.

男性では30歳代,女性では35-55歳で多い.

再発

原発性副甲状腺機能亢進症・高Ca尿症では尿Ca/尿Cr>0.30,高尿酸尿症ではFEUA>15%,遠位尿細管アシドーシスでは高Cl性代謝性アシドーシスおよび尿Na+尿K>尿Clが診断に有用である.

尿管結石症の症候

腰部〜側腹部の激痛でじっとしていられない場合は,尿管結石の可能性が高い.

疼痛は波があったとしても半分程度までしか改善しない疼痛で,持続痛を訴えることも多い.

肉眼的血尿は認めないことが多いが,痛みとともにこれがあれば尿管結石を強く疑う.

尿路結石の既往,鼠径部への放散痛,嘔気・嘔吐も参考所見となる.

身体所見ではCVAの圧痛・叩打痛が診断に非常に有用である.

発熱が見られれば腎盂腎炎の合併や,尿管結石以外の疾患を考える必要がある.

疼痛部位を手で示してもらうと,尿管結石では手を側腹部ではなく腰部にあ

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