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7 全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)とその分類基準

若年女性に多い.

蝶形紅斑・円板状皮疹・光線過敏・口腔内潰瘍・関節炎・漿膜炎・中枢神経障害・血球減少・尿検査異常のうち2つ以上あればSLEを鑑別に入れ,抗核抗体や免疫異常の検索を行う.

わが国における有病率は10万人あたり40人以上(2005年度の特定疾患医療受給者数は53,409人)で,女性が89.6%を占め,20-40歳に多い〔日本臨牀. 2009; 67(3): 458-62〕.


米国リウマチ学会の分類基準(1997)による日本人におけるSLEの診断

▶1982年の基準ではLE細胞も診断基準に入っていた.1997年ではそれが削除された代わりに抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントでも免疫異常と捉えるようになった.現在ではこの基準が特定疾患認定基準でもあり,最も重要視されている.

▶同時にあるいは経時的に11項目中いずれかの4項目以上でSLEと分類する.

頬部紅斑は鼻唇溝を越えない傾向がある.

口腔内潰瘍は通常無痛性なので診察にて確認しなければならない.


関節炎

▶PIP関節,MCP関節,手関節,膝関節など少数の関節が移動性・非対称性に侵されること多い.

▶滑膜・靱帯が弛緩することでスワンネック変形・尺側偏位(Jaccoud関節炎)を呈しうるが,骨破壊はなく人為的な修復が可能である.

▶特にステロイドの長期投与歴がある場合,持続する股関節痛では無腐性骨壊死を除外する必要がある.

分類基準以外のSLEの特徴

発熱,体重減少,リンパ節腫脹,脱毛症,Raynaud現象も比較的よく見られる徴候である.

低補体価は参考所見となる.

脱毛症までいかなくても前頭部の髪の毛が短くもろく折れやすいものはlupus hairとして知られる.

拡散能障害を伴わないが,胸膜炎の反復による横隔膜挙上で呼吸困難を来すものはshrinking l

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