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診断

8 髄膜炎

髄膜炎の病歴

発熱・頭痛・嘔吐のうち2つが揃えば髄膜炎を考える必要がある.羞明があればなおさらである.

特に亜急性髄膜炎では頭痛ではなく肩こりとして自覚することも多い.

成人の髄膜炎診断における病歴

頭痛の性状が診断に有用であるかどうかは分かっていない.

髄膜刺激症状として羞明や聴覚過敏,疼痛刺激に対する閾値低下などが出現しうる.

髄膜炎の身体所見

発熱,髄膜刺激徴候,意識障害が髄膜炎を示唆する所見として重要であるが,すべてが揃う症例は半数に満たない.

項部硬直の判断が難しい高齢者では左右回旋と比較して項部硬直の有無を判断する.またより客観性に優れる頸部前屈試験と頭部振盪試験も確認するとよい.

皮疹はウイルス性髄膜炎でも見られるが,点状出血斑・紫斑は髄膜炎菌感染症を強く示唆する.

成人の髄膜炎診断における身体所見

▶Kernig徴候やBrudzinski徴候(仰臥位で首を曲げると膝や股関節が曲がる,片側の股関節と膝を曲げると対側の下肢が曲がるという2つの種類がある)は感度が低いため有用性は低い.

▶項部硬直は高齢健常者でも1/3で陽性となるため,頸部前屈と左右回旋とを比較することで髄膜刺激徴候かどうか判断するが,回旋でも硬い場合には判断が難しい.

▶項部硬直よりも顎を胸に付けることができないことを確認する頸部前屈試験のほうが感度は高く(可動域制限ではなく疼痛の誘発で陽性とすれば感度はさらに高い),客観的な評価に優れる可能性がある.

▶頭部振盪試験は1秒に2-3回の頻度で頭を左右に振ると頭痛が増悪した場合に陽性とするが,診断特性は報告により大きく異なる.


髄膜炎菌血症の皮疹は点状出血斑や紫斑が特徴的である.紅斑性丘疹が1/4の症例で先行し急速に点状出血斑となる.四肢体幹だけでなく粘膜・結膜,手掌足底にも出現しうることも特徴的とされる.

髄液検査

髄液細胞数は正常≦5/μLで,50

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