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診断

5 帯状疱疹

帯状疱疹の臨床診断

帯状疱疹は中高年で多い.免疫抑制状態と関連があるが,9割以上の患者で免疫機能は正常である.

疼痛が皮疹よりも1-7日間先行するが,この時期の診断には神経領域に沿った異痛症(allodynia)が診断のポイントとなる.

皮疹は浮腫性紅斑から小丘疹・小水疱へと変化し,5日ほどで痂皮化,3週間程度で治癒するが,稀に皮疹を全く伴わない帯状疱疹(zoster sine herpete)も存在する.

皮疹は単一の神経領域に分布することが原則であり,全身に汎発性皮疹を呈した場合は,免疫抑制状態を考える.

帯状疱疹と年齢


帯状疱疹と悪性疾患

▶帯状疱疹が先行して内臓癌を後で発症することは少ないので,帯状疱疹の際には悪性疾患を念頭に病歴聴取・身体診察を行えばそれ以上の検索は必須ではない〔South Med J. 1995 Nov; 88(11): 1089-92〕.

▶ベルギーの報告では65歳以上の女性では大腸癌が有意に多かった〔HR=2.7(1.4-4.9)〕とされるが,積極的な悪性疾患の検索を要するほどではないとしている〔Br J Gen Pract. 2005 Feb; 55(511): 102-7〕.


部位としては胸壁,ついで顔面に多い.

全身汎発性の場合でも水痘と異なり,新旧皮疹は混在しない.

帯状疱疹の検査

新鮮な水疱内容の免疫染色は信頼性の高い検査である.

zoster sine herpeteを疑った場合は,特異的抗体価の測定が診断の参考になる.

水疱内容液を塗抹してギムザ染色をする(Tzanck試験)と核内封入体をもつウイルス性巨細胞を認めるが,帯状疱疹と単純疱疹との鑑別はできないため,確定診断には抗VZVモノクローナル抗体を用いた免疫染色を行う.

▶帯状疱疹の診断

水痘・帯状疱疹ウイルスの特異的IgG抗体,特異的IgM抗体

帯状疱疹の合併症

三叉神経第1枝

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