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6 手根管症候群

手根管症候群の疫学

手根管症候群は40-60歳代の女性に特に多い.

妊婦,糖尿病,甲状腺機能低下症,手関節の反復労作,関節リウマチや透析アミロイドーシスがリスクとして重要である.

手根管症候群は絞扼性神経障害の中で最も多く,次に多いのは肘部管症候群である.

手根管症候群は40-60歳代の女性に特に多い.

▶妊娠・更年期や若年での卵巣摘出術後に多いことからホルモンの影響と,解剖学的な手根管の狭さなどが関連していると考えられる.

▶手根管症候群の有病率は成人女性で9.2%,成人男性で0.6%である〔J Clin Epidemiol. 1992 Apr; 45(4): 373-6〕.

▶年間発症率は人口10万人あたり女性506人/年,男性で139人/年〔Neurology. 2002 Jan 22; 58(2): 289-94〕.

腱鞘炎,関節リウマチの滑膜炎,透析患者のアミロイドーシス,腫瘍・ガングリオン・骨折は手根管内腔を狭めるためリスクとなる.

妊娠による浮腫,肥満,甲状腺機能低下症(細胞外基質沈着),末端肥大症(軟部組織肥大)も手根管内腔を狭める原因となる.

糖尿病などの多発ニューロパチーを来す疾患では神経の脆弱性から手根管症候群のリスクとなる.


手をよく使うことに関連し,利き腕に多く,製造産業従事者の手根管症候群では42-93%が職業によるもの〔Arthritis Rheum. 2008 Sep 15; 59(9): 1341-8〕とされる.手関節の外傷や変形性関節症といった物理的要因も影響する.

手根管症候群の病歴

第1-3指の複数指にしびれや疼痛がある場合は手根管症候群の可能性を考える.

手関節より近位に放散痛を伴ってもよいが,手背や尺側の手掌に症状を認めれば手根管症候群の可能性は下がる.

夜間〜朝方に手根管がむくんで症状が強くなるが,手を挙上して振ると圧迫が改善し症状が

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