診療支援
治療

小児によくみられる皮膚疾患
Common skin diseases in children
玉城 善史郎
(埼玉県立小児医療センター科長兼副部長)

【小児によくみられる皮膚疾患とは】小児の皮膚疾患は,成人と同じ疾患においても症状や経過が違う場合があり,さらに小児特有の疾患も多く存在する.小児に多い疾患としては,主に感染による皮膚症状をはじめとして,湿疹・皮膚炎群や皮膚良性腫瘍などがある.これらをさらに全身性と局所性に生じる疾患に分類し,小児に特徴的あるいは鑑別が必要な疾患について記載する.

【小児の皮疹をみたら】下記の疾患を念頭において鑑別を行う.

1.全身性の発疹症(感染症)(表1-3)

①突発性発疹:ヒトヘルペスウイルス6,7感染症.生後1~2歳頃までにほとんど罹患する.38℃台程度の発熱が数日続き,解熱直後ぐらいから全身に融合傾向のある紅色丘疹~紅斑がみられる.口蓋垂側方の丘疹(永山斑)が特徴的.②麻疹:麻疹ウイルス感染症.感染力が強く空気感染も起こす.二峰性の発熱後に全身に融合傾向のある浮腫性紅斑がみられる.口腔粘膜の白色丘疹(Koplik斑)が特徴的.③風疹:風疹ウイルス感染症.軽度の発熱に頸部・耳後部のリンパ節腫脹がみられ,全身に融合傾向のない粟粒大程度の紅色丘疹がみられる.硬口蓋の点状紫斑(Forschheimer斑)が特徴的.④水痘:水痘・帯状疱疹ウイルス感染症.感染力が強く,空気感染を起こす.紅暈を伴う小丘疹が出現し,徐々に全身にみられるようになる.中心臍窩をもつ水疱形成後に膿疱や痂皮化し,新旧の皮疹が混在することが特徴.経過中に2次感染を起こしやすいので注意が必要.⑤伝染性紅斑:ヒトパルボウイルスB19感染症.「リンゴ病」ともよばれる.両頰部の蝶形~平手打ち様の紅斑から始まり,四肢に網状~レース模様の紅斑が出現する.症状消失後も日光曝露後にて再誘発されることもある.血液疾患のaplastic crisisに注意が必要.⑥手足口病:コクサッキーA6,A10,A16,エンテロウイルス71感染症.典型的には手

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