【思春期に多い皮膚疾患とは】思春期にみられる皮膚疾患は多彩である.思春期に増加する皮脂の影響で尋常性ざ瘡や脂漏性皮膚炎が生じ始める.アトピー性皮膚炎は皮脂の増加により思春期に軽快する症例が約30%程度ある一方で,約半数は改善せず症状が継続し,10%ほどは思春期に初発する.発汗量が12歳頃にピークを迎えることから,汗に関連する多汗症,異汗性湿疹,コリン性蕁麻疹なども思春期に多くみられる.また,この時期は部活動が盛んになり,接触スポーツによるTrichophyton tonsurans感染症が問題になることがある.その他,Gibertばら色粃糠疹,円形脱毛症,尋常性白斑の好発年齢は思春期も含まれ,毛孔性苔癬や後天性真皮メラノサイトーシスはこの時期に皮疹が目立ってくる.一方,成人でみられることが多い性感染症や化粧品による接触皮膚炎もこの年齢でみられるようになり,頻度は低いが膠原病も思春期の発症があるので,診断にあたり年齢は参考程度にとどめておく必要がある.
【思春期の患者をみたら】次の疾患に留意する(表1-7)図図図.①湿疹,皮膚炎群:アトピー性皮膚炎,脂漏性皮膚炎,接触皮膚炎,異汗性湿疹.②蕁麻疹:コリン性蕁麻疹,食物依存性運動誘発アナフィラキシー.③角化性皮膚疾患:Gibertばら色粃糠疹,毛孔性苔癬.④色素異常症:尋常性白斑,後天性真皮メラノサイトーシス.⑤感染症:単純ヘルペス,尋常性疣贅,青年性扁平疣贅,T.tonsurans感染症,癜風,マラセチア毛包炎.⑥付属器疾患:多汗症,尋常性ざ瘡,顔面播種状粟粒性狼瘡,化膿性汗腺炎・慢性膿皮症,円形脱毛症,トリコチロマニア.
□鑑別のポイント 上記の疾患を念頭において詳細な問診をとりながら,特に次のポイントに注意する.①好発部位:蕁麻疹以外は好発部位があるので診断の参考にする.②皮疹の形状や分布:色調の変化が主体の斑だけか,丘疹や小
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