診療支援
治療

関節痛を伴う皮膚疾患
Skin diseases associated with arthralgia
小寺 雅也
(JCHO中京病院部長)

【関節痛とは】関節もしくは関節近傍に痛みを生じる状態である.したがって,その痛みが関節滑膜由来であるのか,腱鞘,滑液包,腱付着部,筋などの痛みであるのかを鑑別しなければならない.関節は骨,関節軟骨,靭帯,関節包,滑膜,関節液から成り立っており,関節近傍には腱付着部や筋が存在する.特に関節炎を生じている場合は,腫脹,熱感,疼痛,発赤,機能障害の炎症の5徴候がみられる.

【関節痛をみたら】次の疾患に留意する(表1-15)①リウマチ性疾患:関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,全身性強皮症,多発性筋炎・皮膚筋炎,混合性結合組織病など.疾患特異性抗体を検討する必要がある.②乾癬:乾癬性関節炎.乾癬全体の20%程度に合併し,乾癬発症10年以内が多い.③結晶性関節炎:痛風,偽痛風など.関節穿刺にて結晶を証明.④血管炎関連:IgA血管炎,結節性多発動脈炎,皮膚動脈炎,C型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症性血管炎など.発熱や全身諸臓器の合併症の有無を系統的に調べる必要がある.⑤病巣感染性:掌蹠膿疱症性骨関節炎.扁桃,歯根などの慢性病巣感染の有無を調べる必要がある.⑥その他:脊椎関節炎,SAPHO症候群,Behçet病など.その他,悪性腫瘍によるparaneoplastic syndromeとしての関節症状,皮膚症状について鑑別を要する.

□鑑別のポイント 上述した疾患を念頭において,医療面接を行い,全身的な身体所見を観察する.特に関節診察は,系統的に行う必要がある.①炎症の5徴候:熱感,発赤,腫脹,疼痛,機能障害を有するかどうかで関節における炎症の存在を確認できる.関節エコーによるパワードプラサインの有無も有用である.②圧痛の程度:検者の爪が白くなる程度の圧力が適切である.③関節可動域評価:四肢の関節は検者が他動的に評価するが,脊椎病変は患者の自動運動で評価する.④腱付着部:MASE

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