診療支援
治療

蝶形紅斑および類似の症状を呈する疾患
Diseases accompanied by butterfly rash and similar eruptions
古川 福実
(日本赤十字社高槻赤十字病院院長)

【蝶形紅斑とは】主に顔面にみられ,羽根を拡げたような形態を示す皮疹をいう.顔面は,解剖学的に中心部に眉間,鼻,唇を配し,顔面にして最大の面積を示す頰を左右に有する.したがって,頰部に皮疹を示す多くの疾患で観察される.疾患によって蝶形紅斑の性状は異なるし,同一疾患においてもその形状はさまざまである.代表的な疾患を表1-23に示した.

【蝶形紅斑をみたら】原因として以下を鑑別する(表1-23)①光線過敏:光線過敏の有無を探る.②原発疹の性状:湿疹性か紅斑性かを判断する(ダーモスコピーが有用である).③全身性熱型や皮疹の熱感など:ウイルス,細菌による可能性を探る.④膠原病:血清中の自己抗体(抗核抗体,抗DNA抗体,抗SS-A抗体など)を検査する.

□鑑別のポイント(表1-24)‍ 

1.日光によって誘発または増悪する疾患

1)膠原病および類縁疾患

①全身性エリテマトーデス:血管炎あるいは血管周囲炎を背景とする小さな紅斑が基本疹であり,それが癒合することで局面を形成し,いわゆる蝶形の紅斑となる.血管拡張がさらに加わることが多い.左右対称性のことが多いが,非対称であることも決してまれではない.さらに,口唇から鼻背にかけてびらんを伴う紅斑がしばしばみられる.このセンターラインの皮疹が頰の紅斑よりは大事で診断的価値も高い.②亜急性皮膚エリテマトーデス:環状紅斑をもってその特徴とする.片側性のこともある.中波長紫外線は皮疹発症の有力な引き金である.③円板状エリテマトーデス:滲出性でなくやや角化傾向を帯びた皮疹が出現する.片側性のこともある.④皮膚筋炎:光線過敏を伴う紅斑が特徴で,顔面に高頻度に皮疹が出現する.浮腫性紅斑から軽度角化傾向を伴うものまで多彩である.特異的皮疹として,ヘリオトロープ疹が,両眼瞼周囲に出現する.⑤Sjögren症候群:環状あるいは類円形の皮疹が出現する.片側性のこと

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