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治療

網状皮斑(リベド)を生じる疾患
Diseases manifesting livedo reticularis
宮部 千恵
(東京女子医科大学)

【網状皮斑とは】循環障害により生じる網目状の紫紅色~暗赤色斑であり,四肢にみられることが多い.網状皮斑は,一過性に消褪する大理石様皮膚(cutis marmorata),何らかの基礎疾患を背景に生じる分枝状皮斑(livedo racemosa)と,その中間的な細網状皮斑(livedo reticularis)とに分類され,デルマドロームとして重要である.大理石様皮膚は寒冷刺激などにより一過性の循環障害を生じ,網目の閉じた皮疹を呈するが,組織学的変化はない.生下時より同様の皮疹を認めた場合,先天性血管拡張性大理石様皮斑を疑う.細網状皮斑は大理石様皮膚よりも持続する網目が閉じた網状皮斑を特徴とし,組織学的変化を伴うこともある.皮膚細動脈のびまん性の血流低下と細静脈の酸素分圧低下,血管拡張などに伴い,均一な網目状の皮疹を呈する.分枝状皮斑は,不規則な網目の輪が閉じない持続的な網状皮斑で,真皮・皮下脂肪組織境界部の動脈障害により生じる.血栓,血管炎などにより一部の皮膚細動脈が閉塞すると,血流が正常な部分には生じないため,不均一な網状皮斑を呈する.血管炎では,皮下に血管閉塞部位を反映する小結節を触れることもある.実際には細網状皮斑と分枝状皮斑が混在していたり,互いに移行することもあり,厳密に区別できないことも多いが,輪が閉じない分枝状皮斑をみた場合,血管炎,血栓,凝固異常などの基礎疾患を検索する必要がある.

【網状皮斑をみたら】原因は多岐にわたり,表1-43のような疾患が挙げられる.

1.生理的・先天的網状皮斑

①大理石様皮膚:寒冷刺激などにより静脈拡張と血液うっ滞が生じる生理的反応.小児や若年女性に多くみられ,一過性.先天性血管拡張性大理石様皮斑では,出生時より下肢を中心に小血管の網目状拡張がみられる.臓器奇形を合併することがある.

2.二次的網状皮斑

①温熱性紅斑(erythema

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