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多形皮膚萎縮を主徴とする疾患
Diseases showing poikiloderma
寺尾 美香
(大阪大学准教授・寄附講座皮膚・毛髪再生医学)

【多形皮膚萎縮とは】皮膚萎縮,血管拡張,集簇性・網状・斑状の色素沈着の混在した皮膚の状態をいう.落屑や粟粒大の丘疹,点状出血などを伴うこともある.先天性と後天性の多形皮膚萎縮がある.さまざまな疾患の後期症状としてみられる症状である.組織学的には表皮の菲薄化,基底層の液状変性,真皮乳頭層の血管拡張やメラノファージの増加などがみられる.

【多形皮膚萎縮をみたら】次の病態・疾患は多形皮膚萎縮をきたすことがある(表1-45)

1.後天性の多形皮膚萎縮

1)炎症性疾患

①アトピー性皮膚炎:成人の重症例の頸部でよくみられる.②慢性GVHD:移植片対宿主病(GVHD)の皮膚症状として顔面や体幹の硬化とともにみられることが多い.③扁平苔癬:年余にわたり経過する萎縮性の扁平苔癬では,多形皮膚萎縮をきたす.

2)代謝性疾患

①アミロイドーシス:アミロイドーシスに多形皮膚萎縮様変化を伴ったもの.

3)膠原病

①皮膚筋炎:浮腫性の暗紫色斑を特徴とするが,後期症状として血管拡張や色素沈着,皮膚萎縮がしばしばみられる.頸部などの露光部,上背や大腿外側などの非露光部などにみられる.②強皮症:後期症状として顔面やその他の部位にみられる.③ループスエリテマトーデス:急性期の症状が進行するとみられる.露光部に多い.

4)環境因子

①慢性の日光皮膚炎:顔面,頸部,上肢などの露光部.慢性の紫外線照射が主な原因.光線過敏症患者にも多くみられる.erythema ab igne(温熱性紅斑)

5)薬剤,医原性

①ステロイド:コルチコステロイドに伴う皮膚萎縮,毛細血管拡張,色素沈着などの副作用が多形皮膚萎縮をきたす.ヒドロキシウレア薬の使用 ③放射線治療:慢性放射線皮膚炎として多形皮膚萎縮様症状を示す.

6)悪性疾患

①菌状息肉症:多形皮膚萎縮様変化を伴う菌状息肉症は胸部,腰部,臀部などにみられ,他部位に古典的菌状息肉症局面を伴うことも多

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