【毛孔性角化とは】体幹・四肢などの体表の生毛や頭部の毛髪などの毛孔に一致して,角化性の丘疹を呈する皮膚疾患で,毛孔性苔癬,毛孔性紅色粃糠疹,毛孔性扁平苔癬,顔面毛包性紅斑黒皮症(北村),鱗状毛包性角化症(土肥)などが鑑別に挙がる.
【毛孔性角化をみたら】下記の鑑別疾患に留意する(表1-49)図.①毛孔性苔癬:上腕伸側や大腿に,毛孔一致性の粟粒大までの角化性小丘疹が多発する.多くは学童期から発症し,思春期頃に目立つようになる.遺伝傾向がある(常染色体優性遺伝).尋常性魚鱗癬やアトピー性皮膚炎,肥満があると発症率が高い.治療には角質融解作用のある尿素系保湿剤やサリチル酸ワセリン,ビタミンA軟膏を外用する.活性型ビタミンD3製剤も有効であるが保険適用はない.上記外用剤で満足が得られない患者では毛孔の角層から表皮浅層を標的にしたマイルドなピーリングも有効である.②毛孔性紅色粃糠疹:指趾背を主とし,四肢伸側・関節屈曲・胸腹部に黄紅色から鮮紅色の粟粒大の毛孔一致性の角化性丘疹が集簇性から播種状に拡大し,四肢伸側や肘頭・膝蓋においては丘疹が融合し鱗屑性の紅斑局面を呈する.角化性丘疹は硬く,おろし金様の皮疹と称され,全身性の剝脱性の紅皮症となりうる.掌蹠は潮紅・亀裂を伴うびまん性角化を認める.爪変形や眼瞼外反を伴うこともある.大きく成人期と幼小児期に二峰性の発症ピークがあり,小児型では遺伝的背景(常染色優性遺伝)が強い.特に誘因なく発症することが多いが,特に溶連菌などの上気道感染後,紫外線や化学物質曝露後に発症することもある.HIV感染に関連する例も報告されている.成人型は数か月の経過で自然消褪することもあるが,小児型では数年あるいは生涯に及びきわめて難治である.ステロイド・活性型ビタミンD3外用剤,エトレチナート・シクロスポリン内服,紫外線治療などを組み合わせる.③毛孔性扁平苔癬:多くは青
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