診療支援
治療

外用薬の基剤ごとの使い分け
Topical therapy based on vehicles
藤原 浩
(新潟大学地域医療教育センター特任教授)

【概説】外用薬成分の多くは基剤が占める(重量比).皮膚の状態によっては,基剤効果が主剤効果を上回ることもある.外用薬を適切に使用するためには,基剤に関する知識が必要である.

 外用薬に用いられる基剤としては,水系→油系の順に,①液剤(ほぼ水),②ローション(乳液,水中に油が少し入ったものを乳化),③ゲル(polyethylene glycol:PEG),④oil-in-water型クリーム(水中油型,バニシングクリーム),⑤water-in-oil型クリーム(油中水型,コールドクリーム),⑥軟膏基剤(ほぼ油),がある.

 ゲル,クリームは,個々の製品で基剤の組成が異なる.例えば,イソジンゲルとポビドンヨードゲルでは,使用感が少し異なる.

 軟膏基剤には,ワセリン,ラノリン,マクロゴール(PEG),プラスチベース(ポリエチレン加流動パラフィン),サラシミツロウがあり,それぞれの精製度,分子量,添加物の有無により硬さ,使用感が異なる.

 テープ剤(ドレニゾンテープなど),フォーム剤などの剤形もあるが,本項の趣旨から外れるので,ここでは取り上げない.

 原則的に,以下のことがいえる.①水に近いほうが塗りやすく,のびやすく,べたつかないので使用感がよい.②患者は,外用薬がのびればのびるほど薄く塗る(単位面積あたりの使用量が減る).患者は,皮膚科医が適切と考える量よりも,少ない量しか外用しない.③外用薬基剤中の水分は時間経過とともに蒸発する.水分の蒸発は乾燥をもたらす(図3-1).④外用薬塗布後,創傷被覆材(ガーゼを含む)を使用する場合や外用薬をリント布などを用いて貼付する場合の水分蒸散は,創傷被覆材の種類により大きく変化する.

【適応】基剤の選択に際し,湿疹・乾癬などの炎症性皮膚疾患に対する使用,乾燥皮膚に対する使用,創傷に対する使用で考え方が異なる.

a.湿疹・乾癬などの炎症性皮膚疾患

【薬剤

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