【概説】皮膚真菌症に対する外用療法に用いるが,対象となる主な病原体は白癬菌,カンジダ,癜風菌の3種である.
【適応】白癬症(足白癬,手白癬,爪白癬,生毛部白癬など),皮膚カンジダ症,癜風,マラセチア毛包炎が主な適応症であるが,爪白癬症に保険適用のある抗真菌外用薬はクレナフィン,ルコナックの2種類である.頭部白癬は外用薬で悪化することが多いので内服薬で治療すべきである.また角化型(角質増殖型)の足白癬は外用薬では改善があまり期待できないので,可能であれば内服薬を選択すべきである.
【薬剤】①抗真菌外用薬は構造式からイミダゾール系,トリアゾール系,モルフォリン系,アリルアミン系,ベンジルアミン系,チオカルバミン酸系に分類されるが,薬剤により適応症が異なることに注意する.イミダゾール系は抗真菌スペクトラムが広く3種の真菌に有効である.そのうちニゾラールは脂漏性皮膚炎にも適応を有する.トリアゾール系の外用薬はクレナフィンのみで爪白癬に適応を有する.モルフォリン系,アリルアミン系も添付文書上3種の真菌症に適応がある.ベンジルアミン系,チオカルバミン酸系はカンジダないし癜風菌には適応を有さないので注意が必要である(表3-6)図.②このように白癬に対してはすべての薬剤に保険適用があるが,実はその効果には差があるといわれている.最小発育阻止濃度(MIC)で白癬菌に対する抗真菌作用を比較すると,ルリコナゾール(ルコナック,ルリコン)とラノコナゾール(アスタット)はMIC値が低く効果が期待できるが,ケトコナゾール(ニゾラール),ビホナゾール,ミコナゾールはMIC値が大きくなる傾向にある.
【使用方法】多くの薬剤で1日1回の外用が基本である.剤形にはクリーム,液剤,軟膏などがあるが,足白癬に使う場合は使用感のよい液剤やクリームが選択されることが多い.しかしながらこれらの剤形,特に液剤で局所刺激症状が出
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