診療支援
治療

美白外用薬
Topical whitening agents
古村 南夫
(福岡歯科大学教授)

【概説】美白とは「皮膚の過剰・不均一に蓄積したメラニン色素に作用し,均一な美しい白い肌に導くこと」であり,美白外用薬にはハイドロキノンなどの院内製剤と美白化粧品がある.ハイドロキノンは1950年代より美白目的で市販品に添加され,その後米国を中心に美白外用薬として使用されている.ところが日本では色素細胞毒性が強いハイドロキノン・モノベンジルエーテルによる不可逆性白斑発生から,類似構造をもつハイドロキノンが医薬品・医薬部外品として承認されなかった.そのため医師の裁量権の範疇で自家調剤されていたが,2001年の化粧品規制緩和の際に配合禁止リストに収録されず,化粧品成分として2%以下の濃度で配合が可能になった.1980年代からハイドロキノンに代わる美白有効成分の研究が始まり,美白化粧品の開発が進んだ.美白化粧品には「メラニン色素の生成・蓄積を抑え,しみ,そばかすを防ぐ」という効能表現を許可された医薬部外品の美白有効成分が配合されている.当初は「日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」という化粧品の日焼け止めと同じであったが,のちに医薬部外品についてはこのように改正された.

【薬剤】作用機序により,チロシナーゼなどメラニン生成酵素を抑制するもの,メラニン生成を活性化する情報伝達物質を抑制するもの,メラニン生成物の還元脱色,および表皮細胞へのメラノソーム移送阻害や表皮からのメラニン排出促進に大別される(図3-4)

【適応】表皮内を主とする限局性メラニン色素沈着症,すなわち肝斑や炎症後色素沈着が美白外用薬の主な適応疾患である.肝斑はレーザー・光治療が原則禁忌で第1選択となる.数か月間の美白外用薬の使用で改善することが多いが,中止によりもとに戻ることがある.炎症後色素沈着は通常半年~1年以内に自然軽快することが多いため通常は適応とならないが,レーザー照射後など医原性で早く軽減したい場合は

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